特集

愛され続けて101年・「横浜市歌」が音頭に!
「BON-DANCE 横浜市歌・よこはまアラメヤ音頭」

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■横浜を盛り上げたい!きっかけは中区の地元3商店街

 「横浜市歌で盆踊り」プロジェクトによる楽曲「Bon Dance 横浜市歌・よこはまアラメヤ音頭」が完成した。

 この「よこはまアラメヤ音頭」は、世代を問わず市民に親しまれてきた横浜市歌を音頭にして、祭りやイベントで踊ってもらうことを通じて、地域の絆(きずな)を深めていくことを目的に作られた。

 アラメヤ音頭の発案は、伊勢佐木町1・2丁目地区商店街協同組合、吉田町名店街会、野毛商店街協同組合の3商店街。地元の本町小と吉田中の卒業生がほとんどという各商店街の商店主が集まった際、子どもの頃に一緒に歌った横浜市歌を音頭にしたいとの声があがったことがきっかけ。今年1月にプロジェクトの立ち上げを発表し、制作が本格的にスタートし、約5カ月でCDの完成にこぎ着けた。

 実行委員長を務める野毛商店街協同組合の藤澤智晴さんは「完成にこぎ着けたのは『横浜市歌』をテーマにしたおかげ。自発的に集まってくれたさまざまな才能を持った人の志が結集した。予算もなく体制もできていない中で、数カ月でここまできたのは奇跡と言ってもいい」と語っている。

 地域の関心は高く、3月3日にプロジェクト発表会の際には、曾祖父母の代から横浜に住み続けている親子から、シニアのグループ、野毛山節保存会、市内企業にインターン中の外国人など、横浜に住むさまざまな人が100人以上集まる盛況ぶりを見せた。

Bon-Dance横浜市歌「よこはまアラメヤ音頭」(ブログ)

横浜市歌で盆踊り(公式Twitter)

■ハマっ子なら誰もが盛り上がる!横浜市歌にまつわるエピソード

 文豪・森鴎外が作詞を手がけたことでも知られる横浜市歌は、誕生から昨年でちょうど100年。1909年7月1日に行われた、横浜港の開港50周年記念祝祭で披露されて以来、市民に歌い継がれている。

 昨年の市歌100周年の際には、ブルースバージョンやヒップホップバージョンの横浜市歌をフィーチャーしたさまざまなイベントも開催された。

 3月3日の発表会に参加したアメリカ人女性は「年齢に関係なく、同じ地域で育った人なら誰もが歌える歌があるなんてすごい」と驚く。日本に市歌は数多くあるものの、横浜市歌の特筆すべき点はその普及率。小・中学校では校歌と並んで徹底的に歌わされ、成人したのちもそらで歌える人が多いという調査結果は、人気番組「秘密のケンミンshow」(日本テレビ)で取り上げられたほどだ。

 出席者に横浜市歌にまつわる思い出を尋ねれば「祖母と一緒に歌える唯一の歌だった」「同窓会では必ず誰かが歌う」「子どもながらに2番のテンポが変わるのが衝撃だった」「苦手だった上司が実は横浜出身で、飲み会で市歌を歌っているのを聞き急に親しみが持てた」などなど、数々のエピソードが次から次へと飛び出した。

 「ハマっ子の気質として、共同で何かをするのが苦手な一面がある」とは藤澤実行委員長の言葉。そんな横浜市民が盛り上がれる共通項のひとつが、まぎれもなく横浜市歌なのだ。

ブルースやヒップホップバージョンも 誕生百周年の横浜市歌-この横浜にまさるあらめや♪(ヨコハマ経済新聞)

横浜市生涯学習ページ「はまなび」|横浜市歌について

■世代を超えて受け継がれる横浜市歌ーその魅力とは

 発表会当日は、第7代横浜観光親善大使の有本恵理さんや「横浜美少女図鑑」の美少女モデル5人も応援に駆けつけ、応援メッセージを送ったほかレコーディングにも参加して会場に花を添えた。

 「市歌は母から習った思い出深い歌」という有本さんは、「古くても良いものを新しい形にアレンジし、さらに広めて受け継いでいくのは素晴らしいこと」と語る。まだ10代という美少女モデルのメンバーも「小学校の音楽の時間で何度も歌わされたが、当時は歌詞の意味が全く分からなかった。そのころより少し大人になった今、一番感じるのが歌詞の素晴らしさ。横浜市歌は中学や高校に入ってからはあまり歌わなくなってしまったが、詩の良さのわかる年齢になってこそ歌って欲しいと思う」と語り、横浜市歌が世代を越えて愛されていることを示した。

 100年前の横浜の上昇気運を物語る華やかなメロディと、海の輝く港町の姿が目の前に浮かびあがる詩。改めて横浜市歌に誇りを感じた参加者も多かったはずだ。

tvkで横浜市歌・音頭制作プロジェクト発表-美少女図鑑モデルも応援(ヨコハマ経済新聞)

■横浜の個性派3人が集結!ポップなご当地音頭の誕生

 楽曲は、横浜らしい大桟橋の汽笛の音で始まり、和太鼓・三味線・二胡・ブラス・ギター・尺八・鍵盤ハーモニカ・銅鑼などの楽器とともに、ミュージシャンや市民、子どもたちによる演奏とコーラス、かけ声でにぎやかに構成。

 総合プロデューサーにギタリストで音楽マネージメント会社代表の本田清巳さん、ディレクターに現代音頭作曲家として海外でも活躍する山中カメラさん、編曲には「羞恥心」を始めとするヘキサゴンファミリーや「新撰組リアン」などのヒット曲を手がける岩室晶子さんと、制作チームには頼もしい3人が顔を揃えた。

『カメラの若大将』(山中カメラ公式ブログ)

■ジャズ、汽笛、中華街…「らしさ」あふれる音頭を作りたい

 大の盆踊り好きで、幼い頃は盆踊り大会のはしごをしていたという岩室晶子さんは、横浜市内在住。 開港博Y150では、横浜市歌のヒップ・ホップ風アレンジ版の編曲も手がけた。

 「ヒップ・ホップはリズムも早く、年配の人やふりを知らない人は参加できない。踊る人と見る人に分かれるのでなく、見よう見まねでも輪に入って身体を動かすことができる、それが盆踊りの一番の魅力」と語る。さらに「港があり、海外から新しいものを大らかに取り入れ続けて来た横浜。中華街のお祭りの音やジャズの音、船の汽笛の音なども取り入れたりするなど、横浜の多国籍感を表現した」と、強いこだわりを見せている。

 「3代続けば江戸っ子、3日住めばハマっ子」とも言われるように、開放的で懐が深いと言われるハマっ子らしさ満開の楽曲になった。

岩室晶子さんTwitter

■横浜ゆかりのアーティストから横浜市長やこどもたち・・アラメヤ音頭に大集結

 「さまざまな才能と持ち味が集結した音頭にしたい。お手本は『ウィ・アー・ザ・ワールド』です(笑)」との藤澤実行委員長の言葉どおり、アラメヤ音頭のレコーディングには、横浜にゆかりのある豪華なメンバーが名を連ねた。横浜市歌のブルースバージョンを歌うミュージシャンの中村裕介さんや、野毛Hana*Hanaに事務所を置く白井貴子さん、野毛大道芸で活躍する遠峰あこさん、ポケモンのサトシくんや開港150周年のマスコット「たねまる」の声優としても有名な松本梨香さんや、中区本町小学校の児童らが参加した。

 そして、この「みんなで音頭をつくりたい」という実行委員会の思いは横浜市長にも届いた。プロジェクトを知った林文子横浜市長は「横浜を盛り上げるためには何でもしたい」と参加を表明。レコーディングに参加した。もともと歌が大好きという市長は、市長室で行われたレコーディングの数回のテイクののち、「本気出すわね」と、なんと履いていた靴を脱ぎ腕まくり姿に。完成したアラメヤ音頭のCDでは、市長の美声も聴くことができる。

 CDのジャケットは、横浜を中心に活動を続けるアーティストのロコ・サトシさんが手掛け、今回のジャケット画作成に伴い、ロコさんのオリジナルキャラクターとなる「アラメちゃん」、「ちびアラメ」も誕生した。5月27日には、楽曲完成発表とともに、振付の伝達講習会やCDの配布が予定されている。会場は横浜にぎわい座 のげシャーレ(小ホール)。開催時間は15時~17時、19時~21時の2回(各30分前から受付)。

横浜市庁舎で林市長が「横浜市歌・音頭&盆踊り」レコーディング(ヨコハマ経済新聞)

「Bon Dance 横浜市歌 よこはまアラメヤ音頭」が完成-27日に発表会

■振付は「ヨ・コ・ハ・マ」の手旗信号からスタート!

 「横浜は観光だけではわからない魅力にあふれた街。市内に住むかたはそんな横浜をとても誇りに感じ、市歌に対する思い入れも強いので責任が重いですね」と語る山中カメラさん。今までに徳島市、取手市、別府市などで音頭を製作し、さらには韓国にも盆踊りを広めた音頭作曲の第一人者だ。作曲にあたり必ずその土地に住みこむことを信条とする山中さんは、2月より横浜に居を構え、横浜の歴史を調べたり、伊勢佐木町や埠頭などで「横浜らしい音」の収録などに取り組み、市歌の原曲の良さを守りながらその良さをもっと引き出すような楽曲の制作と、横浜の開港から震災・戦災、復興と現代の都市発展まで、横浜の歴史物語を取り入れた振付のディレクションを担当した。

 振付は、「ヨ・コ・ハ・マ」の手旗信号からスタート。山中カメラさんが、野毛で活躍する舞踊家でもある野毛山節保存会の片山浪師匠や、ダンス教室を主宰する松井ゆきみさんらの協力のもと考案、子どもから大人まで楽しく踊れる内容に仕上げた。

野毛山節(横浜市西区ホームページ)

■アラメヤ BON-Dancers(ボンダンサーズ)や盆踊りデータベースも

 今後、このプロジェクトでは、制作した1,000枚のCDを横浜各地で「盆踊りを主催している団体や企業」「学校や幼稚園・保育園など教育や子育ての現場で活用してくれる方」「ダンスや踊りの教室やサークルで普及に協力してくださる方」に優先的に譲っていく。

 また、CD配布と引き替えに、市内各地の盆踊り大会の開催情報や、よこはまアラメヤ音頭を習える教室・サークルの情報を蓄積して「よこはま盆踊りデータベース」をつくっていくという。

 そのほか、この夏以降に市内各地で開催される各地の盆踊り大会やその講習会に、講師として踊り手のグループ「アラメヤ BON-Dancers(ボンダンサーズ)」を派遣する企画や、「よこはまアラメヤ音頭」に関するグッズや商品を企画・製作・販売する事業者の募集などを行い、この横浜市歌で踊る「よこはまアラメヤ音頭」を地域資源として広く活用してもらうためのアクションを検討している。

 今回のプロジェクトは、有志がボランティアで運営しているが、CDの制作費などのコストで現在は赤字の状態で、同実行委員会では、寄付を募集している。1,000円を寄付することで、寄付者の名前をホームページなどに表記するという。寄付は5月27日の発表会の際にも受け付ける。

<アラメヤ音頭振付講習会の様子(2010年5月9日)>

■目指せAPEC!開港151年目の船出

♪されば港の数多かれど この横浜に優るあらめや♪
(島国日本に港は数多くあるが 横浜以上の港はあるだろうか)

 アラメヤ音頭の「アラメヤ」は、横浜市歌の印象的なこのフレーズから取られている。「横浜に限らず、どの土地にも『これだけは他の場所には負けない』というものがあるのでは。アラメヤ音頭を聞いた人が自分の住む市や街に興味を持ち、生まれ育った土地に誇りを持つきっかけになれば嬉しい」と藤澤実行委員長は語る。

 アラメヤ音頭は「ザ・よこはまパレード(国際仮装行列)」で横浜青年会議所が初披露したが、今年最大のターゲットは今年秋に横浜で開催が予定されているAPEC(アジア太平洋経済協力)だという。「国際盆踊り大会」と銘打って、世界各国から横浜に集まる要人をアラメヤ音頭で迎えたいと、藤澤実行委員長は夢見ているという。もしかしたら、この盆踊り「Bon Dance」の輪が横浜から日本各地へ、さらには世界へ広がるのかもしれない。

横浜青年会議所による「横浜市歌音頭」@第58回ザよこはまパレード (YouTube)

2010年APEC横浜開催推進協議会

Bon-Dance横浜市歌「よこはまアラメヤ音頭」(ブログ)

ヨコハマ経済新聞編集部

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