「日本酒蔵元サミット&ブラウマイスターを楽しむ会inみなとみらい」は関内の酒屋・丸十酒店を中心とした横浜日本酒委員会が「日本酒の復権は横浜から」をテーマに主催する大試飲会。2005年から毎年開催されていて今年で7回目(途中1年間に2回開催された)となる。
当日は全国各地から有名無名問わず情熱と心意気を持った日本酒蔵元が集結し、試飲が行われる。そのほかビールの試飲、おつまみの提供、主催者によるお酒の販売なども行われるが、なんといっても普段なかなか知り合うことのない杜氏の方との交流や今まで知らなかった日本酒との出会いの場であることが魅力だ。
開催時間は1部、2部の入れ替え制でそれぞれ2時間程度となっている。入場料は前売り1,500円(今年から3,000円)というリーズナブルな価格もあり、毎年来場者は増え、昨年は約3,000人の来場者を記録。大変な盛り上がりだったようだ。
「日本酒蔵元サミット&ブラウマイスターを楽しむ会inみなとみらい」を発案し、主催しているのが横浜日本酒委員会だが、その中心となっているのが横浜・関内の酒屋・丸十酒店だ。横浜市庁舎よりベイスターズ通りを海方面へと歩き、2つ目の角を左に曲がると左手に「丸十酒店」の看板がある。もともと磯子の国道16号線沿いに店を構えていたが、「酒を扱うのならやはり関内」ということで2005年1月にこの場所に店を移転させた。同店では日本酒だけでも常時約400種類を扱っており、店内には日本酒、焼酎、ワインなどお酒好きにはたまらない風景が広がっている。また、店内には10人ほどが座れるカウンターバー(今は一般開放していない)も設けており、月に1、2回、小規模の日本酒をテーマにした「蔵元と語る会」やビールをテーマにした「ブラウマイスターを楽しむ会」などを開いてきた。
このような丸十酒店に集ったお客さんらによって2005年に「横浜日本酒委員会」を結成。とは言うものの、中心メンバーは丸十酒店の社長を合わせた4人で、当日はボランティアなどがいるが、基本的にこの4人でこれまでイベントを続けてきた。
丸十酒店社長で横浜日本酒委員会の広段正三さんは「単純に日本酒を作る蔵元と飲む人をつなげたかったのかな。もともと磯子にいるときから『蔵元と語る会』というものはやっていたのだけど、関内に移ってきた頃焼酎ブームがあって、ここは日本酒も盛り上げたいなということで、こういう大きなイベントが始まった」と第1回開催の頃を振り返った。同じく委員会の高根秋良さんは「突然社長(広段さん)が言い出したんですね、イベントやろうって。言い出して2カ月で開催して、それはもう慌ただしくて、準備期間も少ないからお客さんが来るか心配でした」とも。こうして2005年に「第1回日本酒蔵元サミット&ブラウマイスターを楽しむ会inみなとみらい」は開催されたが、主催者の心配をよそに来場者は約600人と盛況のうちに幕を閉じた。
「他でもこういう日本酒のイベントはやっているのだけど、例えば東京なんかは値段が高い。日本酒のコアなファンが集まってそれはそれで役割はあると思うのだけど、こっちは敷居を低くして良い蔵元、良い日本酒をみんなに知ってもらいたい」と広段さん。また、横浜でこのような日本酒のイベントを開催することについて同委員会の永澤佳代さんは「社長が言うように東京では日本酒のイベントは多いのですが、横浜ではやっていないと思うので盛り上げていきたいですね。あと個人的にはこういうイベントはやりたくてできるものではないので、関わることができて良かったです」と話している。
赤プリで「長野の酒メッセin東京2010」-IOCで振る舞われた「大雪渓」も登場(赤坂経済新聞)
地域ブログ「ナガブロ」オリジナル純米酒が完成-ブロガーが企画(松本経済新聞)
「秋に赤レンガで行われるビールの祭典『オクトーバーフェスト』ほどの知名度はまだないが、これからは横浜の新しい魅力となるのではないか」と話すのは、関内地区の飲食店同士のネットワークを介して地域活性化を目指す取り組み「くるくる関内」の実行委員長、岡本真さんだ。「私も昨年のイベントに東京の友達を誘って参加をしたが、横浜の外から来る人にとって、観光がてらこのイベントに参加するのにはちょうどいい。特にこの時期の横浜はほろ酔い気分に潮風が気持ちよく、ホテルなどで行う他のかたいイメージの日本酒イベントとは違った日本酒の楽しみ方ができる」と横浜に人を呼べるイベントとしての可能性を語った。
岡本さんは飲食店が地元の情報をうまくお客さんに提供し、飲食店同士のネットワークがうまく(くるくると)回っていけば、面白がって関内に来るお客さんも増えるのではという考えのもと、定期的にお酒を交わす会や関内地区の今後を考える会などを開いてきた。そのような活動を踏まえて「東京まで行かなくても最高水準の日本酒が飲めるというのは横浜が地元という人にとってはうれしいところ。同イベントを介して関内の飲食店同士の交流ができたらと思います」と話す。
また「くるくる関内」として同イベントに参加するという岡本さんにイベントの楽しみ方も聞いた「入場券も安いですし、会場の雰囲気もカジュアルなので、ちょっと日本酒を飲んでみたいという人には気軽に参加できる珍しいイベントだと思います。酒器を持参してもいいので、自分の好きな酒器で、自分のペースで飲みたいですね。蔵元さんも含めてワイワイとやりながら楽しみましょう」
くるくる関内が「関内トーキングサークル」-地区活性化目指し(ヨコハマ経済新聞)
オクトーバーフェスト会場で「くるくる関内」-飲食店交流が目的(ヨコハマ経済新聞)
今年の「日本酒蔵元サミット&ブラウマイスターを楽しむ会」は6月6日の開催。会場は横浜赤レンガ倉庫1号館3階のみで、今年も全国から名だたる蔵元48社が集まり自慢の日本酒を紹介してくれる。
当日は1部、2部の入れ替え制(各回750人ずつの入場制限)で、第1部=12時30分~15時、第2部=15時30分~18時。入場券は前売券のみで3,000円(おつまみ付き)。問い合わせや入場券の購入は丸十酒店(TEL 045-663-5345)まで。
以下は出品されるお酒のなかから3つをピックアップしてみた。
八戸酒造(青森県八戸市)の陸奥八仙は「華やかな吟醸香(精米歩合の高いお米を低温でゆっくりと発酵させる吟醸造りでつくられたお酒独特のフルーツのような香り)」と「さわやかな甘み」が特徴のお酒。今回は軽快な口当たりとシャープなのどごしの淡麗旨口酒「陸奥八仙夏吟醸無濾過生酒(ブルーラベル)」が出品される。
茨城県結城市の武勇蔵元のお酒。使用原料米は、兵庫県特A地区産の山田錦、富山県産の五百万石、地元茨城県産のひたち錦、美山錦、日本晴などをお酒の種類ごとに使用割合を変えて用いている。普通酒から大吟醸までの麹米にはすべて山田錦を使用し、武勇独特の味わい、香り、コクを醸し出している。今回は大吟醸を中心に春先の季節限定の純米酒なども試飲できる。
辻善兵衛商店(栃木県真岡市)のお酒。今回は濃厚な味わいが特徴でしぼりたての風味を損ねないように、もろみを絞りながら直接瓶詰めした「純米吟 醸雄町 槽口直汲み」が出品される。
赤レンガで「日本酒蔵元サミット」-全国48社の日本酒試飲会(ヨコハマ経済新聞)
日本酒を知って欲しいという純粋な思いのもと始まった同イベントも毎年開催されるにつれて来場者数も増えてきた。昨年は70の蔵元が参加し、赤レンガ倉庫1号館の2階、3階で展開、約3000人という来場者数だった。しかし、問題がないわけではない。来場者が多すぎて会場内は混雑、日本酒をゆっくり楽しむことが難しくなりつつあった。また、日本酒の試飲もあるイベントであるため裏には念のため数人の看護師も配置していたが、年々ここのお世話になってしまう方が増えていた。今回はなくなく1部2部それぞれ750人の入場制限をし、会場も3階のみとなったが、来場者側もこのようなイベントが長く続いていけるように、自分の適量のお酒のなかで楽しむ必要がある。このイベントは良い日本酒との出会いの場であって、日本酒に飲まれる場ではないということは覚えておきたい。
坂井直人 + ヨコハマ経済新聞編集部