3月18日オープンの「横浜博覧館」は、カップルから、家族連れ、シルバー世代まで、オールジェネレーションが楽しめる観光地横浜の新名所として、多くの集客が期待されている。3階建てビルの1階には正面の中華街大通り、側面の中山路両通りから店内を通り抜けられる動線があり、来街者が自由に出入りできるほか、屋上庭園を憩いの場として無料開放する。施設を運営する、横浜中華街のテーマパーク「横浜大世界」や上大岡の「赤い風船」などを手掛ける総合デベロッパー「オーヴァル」(中区桜木町1)の若林和哉さんに話を伺った。
―「安楽園」跡地に「横浜博覧館」をオープンするきっかけは何でしたか?
「安楽園」跡地は661平方メートルの広さがあったこと、正面は中華街大通り、側面は中山路に面しているという立地のよさがあったので、活用させていただきました。「安楽園」は中華街に食事に来る人たちにとって、ランドマーク的な存在でしたし、建造物としても歴史ある貴重な名店でした。中国風の色使いと、純和風のなまこ壁などが調和している内装はできるだけ残したいと思い、構造上、保存が難しいところもありましたが、窓枠やステンドグラスなどの一部だけでも残すように務めました。
古いものを壊して新しいものを造る、という単純な図式に当てはめず、食と街の景観を楽しみに来るお客様たちに向けて、古き良き文化を残しながらも新しいサービスを提供していきたいですね。
中華街に体験型ショッピングセンター「横浜博覧館」ーベビースターランドも(ヨコハマ経済新聞)
―「横浜博覧館」の見どころを教えてください。
見どころはたくさんありますが、まずおすすめしたい所は2階にある体験型ショップ「ベビースターランド」です。スナック菓子として子どもから大人まで親しみの深い「ベビースターラーメン」をつくる「小さな工場」があり、お客様が、目の前でつくられた、できたての味と食感を、イートインコーナーで楽しむことができる日本で初めての場所です。ここでしか買えないオリジナルグッズやお土産も販売します。三重県にある「おやつカンパニー」さんとの共同開発で、2011年秋ごろから企画がスタートしました。「ラーメン」という中華街との共通キーワードを通して、「お菓子」のもつ楽しさを新しい形でお客様に提供したい、という思いが共鳴して手と手を取ることになりました。
中華街に「ベビースターランド」が誕生ー3月開業の「横浜博覧館」内に(ヨコハマ経済新聞)
施設全体についてですが、1階には、中華街をはじめ異国情緒あふれる横浜の魅力がたくさん詰まったアイテムが集結したギフトショップ「横浜博覧館マーケット」があります。独自のチョイスで選んだバラエティあふれるお土産は、中華街のみならず横浜限定品や横浜・中華街キャラクター商品など、幅広いジャンルを網羅した横浜土産のセレクトショップです。また、弊社オリジナルの「開華楼(かいかろう)」という中華惣菜店が、焼き饅頭や一口サイズの肉まんなどのオリジナル点心を販売。帰りがけにお土産として買っていただけるように、と設置しました。
「ベビースターランド」のある2階は「横浜おやつファクトリー」 で、世界の各国を代表するスイーツを楽しめるフードコートとなっています。マカオを代表するお菓子「エッグタルト」は直径10センチほどあり、相模原にあるケーキショップ「パティスリーKIHACHI」の元パティシエで、人気洋菓子店セラセゾンのオーナーシェフ・清水康生氏が監修したオリジナルレシピ。スイーツはパティシエが全てその場でつくります。「博覧館」という名前にも込められている「世界各国にある文化をあらためて知り、その価値を食を通じて感じてほしい」という思いからこの場所を造りました。
3階にある中国茶カフェ「博覧館ガーデンテラス」 は客席が100席あり、60席以上を緑あふれる屋外庭園に設置。無料で利用できる足湯も併設しました。中華街の空気を直接肌で感じながら、道行く人たちを眺め、ゆっくりとした時間を過ごしていただきたいですね。メニューには健康と美をテーマにしたオリジナル漢方茶もあります。漢方ドリンクや漢方ドライカリーなどを提供している「響」という北鎌倉のレストランを運営する吉田揚子氏が監修。中国茶のいれ方のレクチャーもあり、「健康」を意識した「癒し」の空間となればいいと思っています。
清水康生氏や吉田揚子氏が監修として関わるようになったきっかけは、1階の中華惣菜店「開華楼」のシェフの紹介なのです。人と人の横のつながりが広がり、提供するサービスがどんどん決まっていきました。私自身も商品の開発を進めていく過程で、「人と人とのつながりの大切さ」を実感しました。一つの教訓となった出来事です。
北鎌倉に「日本の暮らし」体感する多目的空間-漢方茶屋でセミナーも(湘南経済新聞)
―来場者に対してメッセージはありますか?
弊社がすでに中華街で運営している「横浜大世界」(中区山下町97)はオープン当初、中国の歴史を紹介するなど「中華街ならではの中国文化的な施設である」という点を重視していました。しかし来場者数が伸び悩んでいたため数年後に「トリックアートミュージアム」を中心にサービスを展開したとたん、お客様の数が増えたという経験があります。ここから「中華街にある施設だから中国の文化価値を提供しよう」という考えに縛られることはやめました。中華街には中国ならではの文化を楽しめる場所がすでにたくさんありますもんね。
横浜・中華街を訪れるお客様に対して弊社ができることは「新しい価値の提供」です。世界とつながる貿易の街・横浜の「中華街」という開かれた場所から「中国」を窓口として「世界の文化」に触れ、新しい発見をしていただきたい、と思っています。
―ありがとうございました。
横浜大世界に新アミューズメント「錯視錯覚実験室」-目の錯覚を体感(ヨコハマ経済新聞)
木下香織 + ヨコハマ経済新聞編集部