横浜美術館(横浜市西区みなとみらい3)で1月4日から、企画展「篠山紀信展 写真力 THE PEOPLE by KISHIN」が開催されている。
2012年の熊本市現代美術館を皮切りに全国26会場を巡回し約75万人を動員した同展では、写真家・篠山紀信さんの50年以上にわたる作品群の中から、有名人のポートレートを中心とした写真約120点を大型パネルで紹介。同時開催のコレクション展でも写真をテーマにした展示が行われ、1989年の開館以来、美術館全館を使用した写真展は初の試みとなる。
展示は、「GOD 鬼籍に入られた人々」「STAR すべての人々に知られる有名人」「SPECTACLE 私たちを異次元に連れ出す夢の世界」「BODY 裸の肉体―美とエロスと闘い」「ACCIDENTS 2011年3月11日―東日本大震災で被災された人々の肖像」の5部構成。
被写体は、ジョン・レノン、吉永小百合、松田聖子、長嶋茂雄、AKB48、樋口可南子、舞踏家ウラジーミル・マラーホフなど、世代を超えて時代を象徴してきた俳優、歌手、スポーツ選手、モデル、舞踏家、歌舞伎役者たちで、山中湖の輝く水面にまどろむ山口百恵(高さ3メートル×幅4.5メートル)や、後藤久美子のメルヘンの世界(長さ約9メートル)といった巨大スケールの写真も並ぶ。横浜展では、名女優・草笛光子、伊勢佐木町の路上ライブからメジャーデビューしたデュオ「ゆず」など、篠山さんセレクションによる横浜ゆかりの作品も加わる。
7日に開催された篠山紀信展アーティストトークは満員の来場者で埋め尽くされ、篠山さんが日本大学芸術学部写真学科在学中の思い出や、展示写真にまつわるエピソードを披露。「いい写真はまぐれ(の産物)。写真の神様が降りてきて、なおかつ被写体へのリスペクトがストレートに伝わった時、計算以上の写真が撮れることがある。その人をその人らしく、もっともっとその人らしく撮るのが僕の写真の特徴。この展覧会は写真力と空間力の戦い。鑑賞ではなく、美術館という大空間で写真と対面し、体感してほしい」と力強く語った。
関連イベントとして、学芸員によるギャラリートーク(1月28日、2月11日・25日)も実施する。
開館時間は10時~18時(2月23日は16時、24日は20時30分まで開館。入館は閉館の30分前まで)。木曜休館(2月23日は開館)。チケット(当日)は、一般=1,500円、大学・高校生=900円、中学生=600円、小学生以下無料。2月28日まで。