
ニュースパーク(日本新聞博物館=横浜市中区日本大通)で現在、企画展「戦後80年・昭和100年 報道写真を読む『1億人の昭和史』から『毎日戦中写真アーカイブ』へ」が開催されている。主催は、毎日新聞社、ニュースパーク、東京大学大学院情報学環・渡邉英徳研究室。
カラー化・デジタルコンテンツ制作・監修を担当した東京大学大学院の渡邊英徳教授
毎日新聞社が保存・保管する「戦中写真アーカイブ」から約100点の写真を展示。アーカイブは、日中戦争が始まった1937(昭和12)年ごろから太平洋戦争終戦の1945(昭和20)年にかけて、約600人の同社海外特派員が撮影した6万点を保存。東京大学・京都大学との共同研究によって背景を読み解いた。
写真は、6ゾーンに分けて展示。大学院生が写真の選択・コンテンツ制作や会場構成に関わるなど、若い世代が展示プロセスに参加する工夫もした。
渡邊研究室がカラー化を担当した「戦争と動物」をテーマとする写真群では、軍用馬や占領地の象などを兵士とともに紹介し、「無垢(むく)な動物たちと日本軍」の写真が戦意高揚に利用された状況を写し出した。会場の一角には、軍用馬と軍人が写った写真を使い、人工知能(AI)を活用して、静止画から動画を生成したコンテンツも展示している。
渡邊教授は「戦後80周年で、リアルに戦争を体験した方々が少なくなっていく中、次世代に『自分ごと』として戦争に考えてもらう仕組みを開拓してきた。一方でこれらの技術を使えばフェイクが簡単に作れてしまう『現在』についても体験できる。過去と未来のメディアのあり方を考える機会にしてもらえたら」と話す。
5月3日~6日は映像システム「リキッドギャラクシーによる展示」を実施。大画面の3D映像で、戦争を捉える体感ができる。6日13時からは渡邉教授と東京大学先端科学技術研究センターの小泉悠准教授によるギャラリートーク「動物たちがみた戦争」を開催。
開館時間は10時~17時(入館は16時30分まで)、月曜休館(5月5日・6月2日は開館、5月7日・6月3日は休館)。入館料は一般=400円、大学生=300円、高校生=200円、中学生以下無料。