
2005年2月18日に閉館した老舗映画館「横浜日劇」(横浜市中区若葉町3)が4月に取り壊されることになった。
同館は1957年に伊勢佐木地区に開業。当時最先端の「シネマスコープ」を導入し、洋画の過去の話題作や名作の2本立てを上映するなど、
1953(昭和28)年12月29日に開業した映画館「横浜日劇」は、当初邦画専門館としてスタートしたが、シネマスコープの導入を機に洋画専門館へと転換。「CINEMASCOPE NICHIGEKI」のネオンサインがシンボルとなり、話題作や名作を二本立てで安価に上映する映画館として人気を博した。「洋画は日劇、邦画は名画座」というフレーズで親しまれ、地元密着型の映画館として長年営業を続け、映画ファンの間で親しまれてきた。
昭和の趣を残すレトロな外観で、1990年代には、林海象監督の映画「私立探偵 濱マイク」シリーズ(1993年~1996年)や、同作のテレビドラマ版(2002年)の舞台として全国的に知名度が上昇した。
経営を担っていた中央興業が興行不振などの理由で廃業。2000年代に入り、シネマコンプレックスの台頭による業績悪化に加え、2004年10月に同社経営の映画館「ヨコハマ・シネマ・ソサエティ」(西区南幸1)が台風22号による浸水被害を受け休館し、同年11月に正式に廃館となったことが大きな打撃となった。結果的に同社は映画館事業から撤退した。
閉館後に、取り壊しの話が持ち上がったが、地元メディアの報道などで「横浜の象徴」としての価値が見直され、2005年12月にフレンダムがイベントスタジオとして営業を開始。その後、2006年5月には「日劇再生準備委員会」が設立され、映画館としての再生が模索されたが、耐震強度や空調設備の問題が解決できず、2007年4月の取り壊しが決定。
解体を前に、3月17日~18日には最後の無料特別上映会と内覧会が開催される。最終上映作品は「ニュー・シネマ・パラダイス」で、これをもって横浜日劇の歴史は幕を閉じる。
上映は12時30分~(12時開場)。当日は、記念グッズの販売も予定しているという。問い合わせはジャック&ベティ(TEL 045-243-9800)まで。