横浜市環境創造局は7月17日より、「昔のようにきれいな海をつくろう」と、山下公園前の海域で水質浄化実験を開始した。約3,200平方メートルの範囲を水中スクリーンで区切り、海中生物の水質浄化能力を測るのが狙いで、今後の水質浄化に役立てる。
横浜港の水環境は下水の高度処理や事業場排水の規制などにより、改善されてはいるものの、依然として赤潮や悪臭の発生などが課題となっている。汚濁物質の発生により光が水中に届かず、海藻などが育たないため酸素濃度が低下し、海中生物の生息が困難な環境となっている。今回の実験では、赤潮や降雨時の濁水を遮断することで海中生物がどの程度の浄化能力を持つのかを確認する。また、実験は同局が取り組む「きれいな海づくり」事業の一環で、市民、事業者と連携して横浜港の水環境改善を図ることを目指している。
同局内の環境保全に関する研究機関、環境科学研究所の石井彰さんは「莫大な費用をかけて特別な浄化施設を設けるなどの方法もあるが、横浜市では海が本来持つ能力を生かし、海中生物の力できれいな海をつくることを目指している。こういった実験は自治体では珍しい試み」と話す。
実験は来年3月末までの予定。