万国橋のたもとに位置する公団住宅「海岸通団地」(横浜市中区海岸通)で8月17日より、写真展が開催されている。海岸通団地自治会が主催で、今秋にも解体される予定の風情ある団地を名残惜しむ住民たちが思い出をとどめたいと企画した。
同団地は総数460戸で、日本住宅公団(現・都市再生機構)により、戦後の住宅難解消のために建てられ、1958年に入居が始まった。
写真展では団地近くの万国橋SOKOに写真スタジオ「アマノスタジオ」を構える写真家・森日出夫さんや藤間久子さんが撮りためていた建物外観や、団地から見ることのできるランドマークの風景などの写真を集会所に展示している。そのほか、写真と団地の映像を組み合わせた茨木三恵子さんの作品「海岸通団地 Lyrical Scence」や、団地の空き室の一部も公開している。
写真家の藤間久子さんは「住民目線の撮影によって団地の良さが伝わると思う。懐かしさや団地ならではの一体感を多くの人に触れてもらいたい」と団地の魅力を話す。同自治会役員の出沢明子さんは「横浜の中心街にありながら静かで暮らしやすい。このような古き良き建物が無くなっていくのは寂しいし悔しい」と同団地への思い出を募らせた。
写真展の開催時間は11時~19時。入場無料。8月24日まで。
団地がある北仲通北地区では、森ビルや都市再生機構など6社が事業者となり、再開発が進められており、高さ200メートルのタワービルや、オフィス、商業施設、住宅、ホテルなどが設けられる予定。同地区にある1926年築の帝蚕倉庫の一部は保存され、創造的産業の集積を目的とした「アジアデザインマネージメントセンター(仮称)」として活用される予定。地区全体の完成は2014年以降の予定。
「海岸通団地写真展」アマノスタジオ(森日出夫スタジオサイト)北仲通北地区 歴史的建造物の保存について(横浜市都市整備局都市デザイン室)馬車道駅に隣接した「北仲地区」の再開発案がまとまる(ヨコハマ経済新聞)