かつて特殊飲食店が多数立地していた中区初音町、黄金町、日ノ出町周辺を「文化芸術のまち」に再生させる試みとしてアートフェスティバル「黄金町バザール」が9月12日に開幕した。地元住民や大学、横浜市などが共同で企画したもの。
会場となるのは京浜急行日ノ出町~黄金町駅の高架下に新設した2つのスタジオや既存店舗を改修した複数の建物など。神奈川大学曽我部研究室が設計を担当し、外装はステンレスで内部に土間をイメージした空間が広がる「黄金スタジオ」と、横浜国立大学建築都市スクール「Y-GSA」飯田善彦スタジオの設計で、ガラス張りのショールームをイメージした「日ノ出スタジオ」を中心に約10カ所で26団体が作品を披露する。
参加作家は横浜出身のアーティスト福本歩さんや狩野哲郎さん、神奈川県出身の写真家安齊重男さん、ぬいぐるみ作家安部泰輔さんのほか、中国のアートスペース「ビズアート」などが作品を展示。そのほか、ファッションブランド「me ISSEY MIYAKE」とアーティスト田宮奈呂さんのコラボレーションショップや、鳥取県境港市の老舗鉄板焼「美空」、1万枚のCDコレクションが自由に視聴できる東京・代々木上原のカフェ「視聴室」などが出店する。また、その場で焼いたお茶碗で抹茶を飲むことができるきむらとしろうじんじんさんの屋台「野点」や、ぬいぐるみ制作のワークショップなども行われる。
開催を前に9月11日には中田宏横浜市長らが参加してオープニングレセプションが行われ、地元住民ら約700人が集まりアートの街への生まれ変わりを祝った。
中田市長は「住民からの強い要望もあり、風景そのものを変えることからスタートした。特殊飲食店街への本格的な取締りを始めたときはいろいろな嫌がらせにもあったが、ようやく今の状態へ至った。今後も本格的に変わっていく姿をみなさんと共に楽しみたい。イベント会期中は人の絶えない街になるよう、みなさん何度も足を運んください」と呼びかけた。横浜市立大学准教授で同イベントの実行委員長を務める鈴木伸治さんは「売春の街から文化の街へイメージを一新して、アートによるまちづくりの新たな可能性を示したい」と意気込みを見せた。
開催期間は11月30日まで。入場無料(一部有料イベントあり)。