3年に1度の現代美術の祭典「横浜トリエンナーレ2008」が9月13日に開幕した。25の国と地域から73人の作家が参加し、新港ふ頭に新設された「新港ピア」や横浜赤レンガ倉庫1号館、BankART Studio NYKをメーン会場に約2カ月半にわたって開催される。
今回のトリエンナーレのテーマは「時の裂け目」を意味する「タイムクレバス」。「単線的な時間の概念や硬直化した世界観を問う」という意味が込められており、パフォーマンスを伴う作品が多いのが特徴。
開催を前に9月12日に行われた記者会見で同展総合ディレクター、水沢勉さんは「作家の身体に関わる要素を打ち付けたいと思った。時間や空間をつないで経験することで横浜を深く見直すことができるのでは」と期待を寄せた。参加作家を選出したキュレーターのひとりハンス・ウルリッヒ・オブリストさんは「パフォーマンスを取り入れることで予測不可能な部分が多いのが特徴。世界各国で120を超えるトリエンナーレやビエンナーレといった美術展が開催されており、グローバリゼーションに埋もれてしまう可能性がある中で、新しいやり方を提示したい」と話した。
会期中は、BankART Studio NYKで第1回の横浜トリエンナーレにも出品した女性パフォーマー、マリナ・アブラモヴィッチさんや、舞踏家、俳優、造形作家など幅広い分野で活躍する勅使河原三郎さん、舞踏家の田中泯さん、オノ・ヨーコさんらがパフォーマンスを披露。新港ピアではベルリン・ビエンナーレ(1998年)で国際的に注目を集め、ドイツアートを代表するインスタレーションアーティスト、ヨナタン・メーゼさん、プリンターなどを使用したユニークなインスタレーションを展開する荒川医さんと向井麻理さん、赤レンガ倉庫1号館では横浜を拠点とする岡田利規さんによる演劇ユニット「チェルフィッチュ」や、カンヌ国際映画祭でカメラ・ドール(新人監督賞)を受賞し、パフォーマンスを取り入れた作品で知られるミランダ・ジュライさんが参加する。メーン会場のほか、三溪園、大さん橋国際客船ターミナル、ランドマークプラザ、運河パークでも展示やパフォーマンスが展開されている。
開催期間は11月30日まで。入場料は一般=1,800円、大学生=1,300円、高校生=700円。チケットは会期中2日間有効(連続しない日も可)。
そのほか、関連イベントとして「BankART 1929」が行ってきた活動を紹介する総合展覧会「BankART Life II」やアートフェスティバル「黄金町バザール」などが市内各所で展開されている。