古くから飲食店が多く集まる中区の野毛地域全体を劇場空間に見立て「見て、学んで、食べて、歩いて、買って楽しめる」地域振興事業を展開する「野毛大道芸ブランド」事業のキャラクター・ロゴが決定した。
同事業は、野毛地区の「おもてなし事業」として、地域ブランド商品の開発や新しいサービスの創出などを目指すもので、キャラクター・ロゴは、昨年11月実施した公募に応募があった9人のデザイナーによる12作品から選ばれた。選ばれたのは「ネズミ」をキャラクターとした、横浜市中区在住のデザイナー高野司朗さん(ヴェリー・ヴィジュアル・アソシエイツ)の作品。今後、同事業のポスター、チラシ、ホームページなどの製作物に使用される。
キャラクターの「ネズミ」は、野毛の氏神様が「子之大神(ねのおおかみ)」であることが由来。「子の神社」は、かつて野毛4丁目付近にあったが、太平洋戦争の戦禍で焼失し、1951年より伊勢山皇大神宮の「杵築宮(きづきのみや)」に合祀されている。現在は「ちぇるる野毛」の敷地の一角にある石碑が「子の神社」の名残を今に伝え、毎年8月に例大祭を開催している。
デザイナーの高野さんは「野毛は大好きな町。自分の作品が選ばれてとても光栄です」と話す。
また、事業を推進する野毛地区振興事業協同組合専務理事の福田豊さんは「野毛も、今では大道芸の町として定着してきた。今回のロゴでネズミが綱渡りしているように、今まで野毛の町もずっと綱渡りしながらなんとか歩み続け、その様は大道芸そのもの。ネズミの象徴する表の意味は『商売繁盛』『家内安全』だが、地元の古老によると『博打』『芸能』という裏の意味もあるという。これからも、ロゴのネズミのように、大道芸のジャグリングで使うボールやスティックの代わりにサイコロを放り投げながら、綱渡りの野毛の町として繁栄してゆければ」と話している。
「野毛大道芸ブランド事業」は、2007年6月に施行された税制・金融面など総合的な支援措置を講じる「中小企業地域資源活用促進法」に基づき国から地域産業資源活用事業計画の第1号の認定を受けた取り組み。「野毛大道芸フェスタ」事業のほか、クーポン券付きガイドブック「野毛パスポート」を持って地域の飲食店を回遊する「野毛飲兵衛(のんべえ)ラリー」、鯨をテーマとした新名物メニューの開発を進める「野毛くじら横丁」などの活動のほか、現在、野毛のもつオンリー・ワンの魅力を発信する新しいガイドブック「野毛100選」と「野毛30選」(仮題)の編集を進めている。