横浜美術館(横浜市西区みなとみらい3、TEL 045-221-0300)で6月12日、「フランス絵画の19世紀―美をめぐる一〇〇年のドラマ」展が始まった。
展覧会は、日本で紹介されることの少なかったフランス・アカデミスムの画家たちの魅力を、本格的に再評価するもの。19世紀のフランス絵画を、当時主流だった保守的なアカデミスム画家に注目し、ロマン主義から印象派という革新的な流れと相互に影響しあいながら西洋絵画の黄金期を築き上げた絵画史を再確認する。
会場は、4つの章構成で展示。第1章ではアカデミズム絵画の基盤を築いた新古典主義の絵画を紹介、第2章ではロマン主義の登場に影響を受けながら、歴史的な主題をより親しみやすく現実感覚に富んだ表現で描いたアカデミスムの第一世代を紹介。「レアリスム」などの革新的な動向と連動・対立しながら変貌していくアカデミズムの第二世代を紹介する第3章を経て、印象派によってもたらされた手法・表現上の革命にアカデミズムが次第に歩み寄り、多様な動きが生み出されていく様子を示す第4章で締めくくる。フランスの22の美術館を含む38件の借用先から、全77点が出品される。
ダヴィッド、アングル、ドラクロワ、クールベ、ミレー、マネ、モネ、ルノワールなど、巨匠の傑作を展示するほか、作家や時代の流れについての解説キャプションや音声ガイドを充実し、より絵画への理解を深められる内容となっている。
12日に行われた内覧会で、フランス大使館・文化部のフランシス・メジエール次席参事官は「今回の展示会の根幹となるのは絵画の多様性。地方を含めたフランス全土の美術館から集めた名作77作品はフランスの秘宝とも言えるもの。フランス19世紀絵画の豊かさをぜひご堪能ください」と語った。
同展覧会は、横浜開港150周年と横浜美術館開館20周年を記念して、同美術館と日本経済新聞社が主催。会期中には東京大学教授で展覧会を監修する三浦篤さんによる記念講演や担当学芸員によるギャラリートークも行われる。
開館時間は10時~18時(金曜は20時まで、8月27日を除く木曜日休館)。入場料は一般1,400円、大学・高校生1,100円、中学生800円、小学生以下無料。開催は8月31日まで。