横浜人形の家(横浜市中区山下町、TEL 045-671-9361)は6月20日より、漫画やイラストレーションの原画作品展「現代作家 鴨沢祐仁展」を開催している。
同展覧会は、横浜開港150周年を記念して同館が4回連続で企画する展覧会の第2弾。2008年1月に急逝した漫画家でイラストレーターの鴨沢祐仁さんの回顧展で、総数約3,000点の原画や遺品など、故人にまつわる品々を展示する。
鴨沢さんは、1952年に岩手県で生まれ、1975年に漫画雑誌「ガロ」に掲載された「クシー君の発明」でデビュー。菓子メーカーや文具メーカーのグラフィックデザイナーを経てフリーランスで活動。代表的作は、不思議な街プラトーン・シティに住む少年「クシー君」シリーズ、雑誌「ビックリハウス」の表紙絵など。
今回は、同館プロデューサーの北原照久さんが所有する膨大なコレクションの中から、初期から再晩年の作品までがそろう。作品集未収録のものを含む、イラスト画やデッサン画の原画作品が約150点のほか、作品を制作するためのアイデアの元となった小物、実際使用していた画材やスケッチブック、出版物や商品化された数々のアイテムなどを紹介する。また、趣味だった山登りグッズや愛犬「ペロ」の写真など、自宅に残された愛用品から鴨沢さんの素顔にも触れる。
人形の家1階のショップ「Doll&Toy」では、「クシー君」シリーズを商品化したグッズや原画に近い忠実な表現の版画などを販売する。
横浜人形の家の村上大輔さんは「当館では過去に、鴨沢さんの書籍『お父さんのクリスマスツリー』(架空社)の出版を記念した展示を行ったことがあるが、今回は当時よりも3倍の広さを持つ企画展示室を使って大規模に行う。セーターの編み目や毛の1本1本まで細やかに描き込んだ初期の作品から、オーバーレイと呼ばれるカラーフィルムを切って貼り付けた後期の作品まで、1枚の絵に注がれた鴨沢さんのエネルギーをご覧いただきたい」と話す。
開催時間は10時~18時半(入館18時まで)、入館料は大人=800円、小人=200円(小学生未満無料)。開催は7月12日まで。
同館は、人形を通じた国際親善の輪の広がりを目指す国際観光文化施設として1986年に開館。施設老朽化に伴い、2006年にリニューアル、館長に石坂浩二さんが就任。現在140以上の国から収集した世界各国の人形が約5,600点、江戸時代から現代までの日本の人形各種を約8,000点コレクションする。また人形劇専門の設備を有する「あかいくつ劇場」では人形劇公演やジャズ演奏などの催しが行われている。