NGO・NPOへの募金のポータルサイト「イーココロ!」を運営するユナイテッドピープル(横浜市中区本町1)は、世界の現状や社会課題を多くの人に伝えることを目的に映画配給事業を開始した。
配給第1弾は、バングラデシュのストリートチルドレンの現実を描いた映画「アリ地獄のような街」。同映画は、農村での生活を捨てバングラデシュの大都市ダッカへとやってきた少年が、路上生活をしているうちに大人たちに利用され、ダッカの闇の生活に落ちていくストーリー。逃れることができないアリ地獄のような現地の子ども達の現実の姿を描いている。
映画を製作したのは、バングラデシュでストリートチルドレンの支援活動を行うNGO「エクマットラ」。監督は、同団体代表で、多数のドキュメンタリー映画を撮っているシュボシシュ・ロイさん。
「エクマットラ」は、青空教室やシェルターホームの運営などストリートチルドレンに対する支援と、映画制作などのメディアを通じた啓発活動を行う民間活動団体。横浜市出身の渡辺大樹さんとシュボシシュ・ロイさんらが中心となって、経済的、社会的格差が大きいバングラデシュでその格差の間に架け橋をかけたいとの思いから、「エク(ひとつの)マットラ(皆が共有する線)」と名付け2004年に共同創設した。
渡辺大樹さんは、大学時代にヨットの国際大会で訪れたタイのプーケットで、現地のスラムの子どもたちの貧しさを見て衝撃を受け、大学卒業後にバングラデシュに渡り、「社会の格差を縮め、温度差のない社会を作りたい」という思いから、現地の子どもたちの支援のためエクマットラを創設した。
ユナイテッドピープル代表の関根健次さんは「バングラデシュで青空教室を行ってきたエクマットラが映画を完成させたという話を渡辺大樹さんから聞いて、日本でも多くの方に知ってもらいたいと思い、すぐさま映画配給を決めました。映画を見ることが、世界の現状を知り、何かを起こすきっかけになることを願っています」と話している。
11月7日~11月20日まで、シネマ・ジャック&ベティで上映を行うほか、自主上映の主催者も募集。映画の収益は、エクマットラが建設中のストリートチルドレンのための自立支援センター「エクマットラアカデミー」の建設資金となる。
また、11月3日には横浜情報文化センター6階情文ホール(中区日本大通11)で、映画予告編の上映とミニライブ、渡辺大樹さん、関根健次さん、コトラボ合同会社代表の岡部友彦さん、Waku-Work代表の山田貴子さん、大川印刷の大川哲郎さんらをゲストに招いてのトークイベントも開催される。開演は18時30分で、料金は500円。