「ヨコハマ・クリエイティブシティ・センター(YCC)」(横浜市中区本町6、TEL 045-221-0325)で、現代美術家・孫遜さんの日本初個展「主義之外」が開催されている。
同展は、横浜市・北京市アーティストイン・レジデンス交流事業の一環で、約2カ月半横浜に滞在し制作に取り組んできたアーティスト孫遜(スンシュン)さんの新作を紹介する。主催はFEC民間外交推進協会およびヨコハマ・クリエイティブシティ・センター。
「主義之外」は展示会場YCCの空間の特徴を生かして制作された作品で、横幅2メートル×縦幅5メートルの手書きモノクロ画9枚と映像用のアニメーションスクリプトが展示されている。作品はすべて日本滞在中に制作したもので、スクリプトは、滞在中に完成したヨーロッパ編「魔術師党と死んだカラス」と展示中のモノクロ画のベースとなった中国編の2本。孫さんは日本滞在中、京都を訪問したり、新年は野毛地区で寄席を観賞するなど日本文化を楽しんだという。
中国編のスクリプトは、神奈川県立歴史博物館やYCC、京都の金閣寺、三十三間堂、南禅寺など、孫さんが各地を訪問したときの思い出と北京の風景が融合された作品。今後、北京に持ち帰り、8月頃にアニメーションを完成する予定。
30日は、横浜美術館主席学芸員の天野太郎さんのナビゲートによるアーティスト・トークを実施。当日は、現在制作中のモノクロ画作品10枚目がお披露目される予定。開催時間は18時~20時。申し込み不要、入場無料。
孫さんは「初めて日本を訪れ2カ月近く過ごしましたが、日本はとても新鮮で面白い。実際に日本各地をまわり、展示会場の空間を見て今回の制作内容を決定しました。自分にとって一番重要なものは動画。今回発表するスクリプトのひとつは中国のストーリーですが、モチーフは全て日本滞在中に得たもの。可能であれば毎年日本に滞在して作品をつくりたい」と話している。
期間中は、併設された横浜から80キロメートル圏内の食材を80%使用したメニューを提供するカフェ「YCC Cafe × 80*80」で注文した食事やドリンクを片手に展示を楽しむことができる。開館時間は11時~19時。展示は1月31日まで。
孫さんは1980年中国・遼寧省生まれ、中国美術学院版画系卒業。北京を拠点に2003年からアニメーション制作を開始し、最近は「新中国」(アメリカ、2008年)、「ショック・オブ・タイム」(アメリカ、2009年)、「人民共和動物園」(イギリス、2009年)などを発表し国外にも活躍の場を広げている。作品の多くはモノクロの手書きの短編アニメーションからなり、歴史はいかにして作られ、そして語られてきたかを探索している。横浜では、昨年行われたヨコハマ国際映像祭、ZAIMギャラリーへの出品に続く3回目の展覧会。