横浜にぎわい座の地下2階「のげシャーレ」(横浜市中区野毛町3)で2月27日より、演出家・神里雄大さんによる演劇「リズム三兄妹」が上演される。
「リズム三兄妹」は、横浜の劇場・稽古場3館(急な坂スタジオ・のげシャーレ・STスポット)の連携による舞台芸術の創造支援プログラム「坂あがりスカラシップ2009」対象公演で、2008年に東京・こまばアゴラ劇場で上演された作品。主催は演劇カンパニー「岡崎藝術座」。
同作品は「『生活』する上でのリズムを守る」という人間の理性的な感情を象徴化した「リズム三兄妹」と「リズムの乱れ」という人間の欲求の一側面の衝突を描いた物語で、「欲望を持った者しか、世界は立体的に見えない」という仮説に基づいて創作された。
物語は3部構成。1部「ソファ/sofa」は女性2人による、約30分間ほぼ全くセリフも動きもない日常生活(静)、2部「告白/confession」は第1場の「静」と対称的に「動」を展開、3部「欲望/desire」では10分におよぶセリフを「躍動的な表現」で体力の限界まで動き続けながら表現する。上映時間は85分(予定)。
出演は中村真生さん(青年団)、鷲尾英彰さん、召田実子さん、宇田川千珠子さん(青年団)、橋口久男さん(三条会)、竹中香子さん、西田夏奈子さん。
作・演出を手掛ける神里さんは「自分の中に単に感触があるだけでなく、影響されているのを感じる、加速度的に作品が熟していくのを感じる。熟しすぎる前にこれに飛び乗って、そのままどこか違う地平を目指そうと思う」とコメントしている。
最終日の3月2日13時より、神里さんと演劇カンパニー「チェルフィッチュ」を主宰し、横浜を拠点に活動する演劇作家・岡田利規さんによるフリートークが行われる。入場無料(予約不要)。
急な坂スタジオを運営するNPO法人アートプラットフォームの里見有祐さんは「最新作『ヘアカットさん』では『演劇界の芥川賞』と称される岸田國士戯曲賞の本年度最終候補にもノミネートされました。本作『リズム三兄妹』は、終盤にかけて湧き上がる劇世界の何とも言い得ぬ高揚感と緊張感に魅力を感じています。まさに小劇場の醍醐味を味あわせてくれる作品です」と話している。
開演は27日・28日=14時~、19時~。3月1日・2日=19時30分~。チケットは一般=予約2,500円(当日3,000円)、高校生以下=1,000円。公演は3月2日まで。
岡崎藝術座は、オリジナル戯曲・既成戯曲を問わず、神里さんの演出作品を上演するカンパニーとして2003年に結成。現代演劇のジャンルにとらわれず、能や舞踏、コンテンポラリーダンスなどの身体性を要素として取り込み、それらをぶつけ合い暴発させる演技が特長。劇場のほか路上やスキー場跡地、4畳半の家など、それぞれの「空間」が内包するドラマ性と向き合い公演を行っている。