日本大通りのクリエーター拠点「ZAIM」(横浜市中区日本大通34)が、3月末に閉館を迎えるにあたり、これまでの歩みや入居者の活動をまとめた報告本「ZAIM2006-2010」を出版した。
この本は、ZAIMに入居するアーティストやクリエイターらが中心になって編集したもので、B5版で103ページのカラー本。サブタイトルは「とりあえず…閉館します。」で、昨年5月に制作に着手し、半年以上の期間をかけて完成させた。編集長は美術ジャーナリストの村田真さんが務めた。
主なコンテンツは、入居アーティストらが語る特集記事「最後だから言っちゃいます! ZAIM の『あんな話』や『こんな話』」のほか、横浜トリエンナーレ2005のディレクターの川俣正さんの提言「ZAIM はすでにもう終わっていた…」のほか、日本大通りとZAIMの変遷やこれまでのあり方の検証、ショートコラム、管理運営側のノウハウ解説など。入居者らの素顔を写した写真や、アーティスト作品のグラビア写真、歴代の入居者40団体の紹介などが掲載されており、読み物としても楽しめる内容となっている。
ZAIMの担当者・鈴木慶子さんは「この本を手に取ってもらえれば、4年間の歴史の中でZAIMの若いレジデンスアーティストがどんなことをやっていたのか、今のトレンドや何が必要なのか、そんなものが見えてくると思います。ZAIMはひとまず閉館になりますが、さまざまなアーティストらが集っていたという貴重な経験を生かし、ぜひこれからも飛躍していっていただきたい。そんな思いも詰まった一冊に仕上がっています」と話す。
価格は1,000円。ZAIMやYCC(ヨコハマ・クリエイティブシティ・センター)のほか、横浜赤レンガ倉庫1号館や横浜美術館などでも販売する予定。発行部数は1,000部。
ZAIMはスクラッチタイルの外壁で、玄関まわりにレリーフ装飾を施した1928年建造の建物。かつては大蔵省の関東財務局横浜財務事務所や横浜地方裁判所の仮庁舎などとして活用されていたが、2003年に横浜市が所有し、2006年7月に「ZAIM」としてアーティストやNPOなどに貸し出しを開始した。作品の制作や発表、交流の場として活用されてきたが、暫定活用期間の終了や建物の老朽化を理由に3月末で一旦閉館。今後、耐震補強を含む改修を実施し、改修後には文化芸術活動拠点や店舗などを設置する計画があるが、着工時期は未定。