横浜開港資料館(横浜市中区日本大通3)で、勝海舟と横浜のかかわりを振り返る展示「勝海舟と横浜」が無料公開されている。
横浜開港の翌年1860年、「神奈川台場」が勝海舟の設計のもと築造された。台場は海岸警備と監視のため大砲14門を備え、かつて国内外の貴賓や外交団に祝砲を放っていた史跡。現在、工業化で周辺部が埋め立てられている台場は今年築造150周年を迎え、横浜市神奈川区内の地下にほぼ完全な形で埋もれていることが確認されている。
同展示では、アメリカから里帰りした神奈川台場の彩色写真をはじめ5点の貴重な資料を紹介する。
展示作品は、彩色写真「明治初年の神奈川台場」(山本博士さん蔵)、「勝海舟肖像写真」(木村家蔵・横浜開港資料館保管)、「咸臨丸難航図」(木村家蔵・当館保管)、「ベルスライケン(長崎の海軍伝習所で教官を務めたオランダ人)が勝に贈った本」(当館蔵)、オランダ語の文法書「カッテンディーケ(ベルスライケンの後任)が勝に贈った本」(当館蔵)。
勝海舟は1823年、旗本勝小吉の長男として生まれ、1838年に家督を継いだ頃から蘭学を学び、その後、蘭学者・兵学者として活躍した人物。坂本龍馬や西郷隆盛らの幕末の志士とも親交があったことでも知られている。勝海舟と横浜との関係は深く、横浜有数の外国商館ウォルシュ・ホール商会の番頭の熊谷伊助と深い親交があった。さらに、咸臨丸がアメリカに渡航した1860年1月13日、咸臨丸は品川を出航した後に横浜に寄港し、浦賀を経由してアメリカに向かった。
昨年度末に改修工事を終えた「神奈川台場公園」(神奈川区神奈川1)には現在、埋蔵文化財の調査結果の概要と神奈川台場の歴史を案内するサインが設置されている。同公園の南側約100メートルには、開港100年を記念して造られた石碑があり、神奈川台場跡を記した記録とともに、建設当時の石積みを確認することができる。
関連商品として、同館の受付では「神奈川台場」の独特の形状をモチーフにした縁起菓子「勝サブレ」(1枚126円、10個入1,260円)や、冊子「地図と絵に見る神奈川お台場の歴史」(400円)を販売している。また、3月31日に発行した「横浜もののはじめ考」(第3版、2,000円)などの書籍や新商品も提供。
横浜開港資料館の西川武臣さんは「今は土中に遺跡が眠っていますが、かつて横浜にも台場が存在したということ。そして、今もなお、かなりの石垣が残っているという事実を知ってもらいたい。この地域は再開発されるだろうが、その際には台場を生かした形で保存できればと思う」と話している。
会場は横浜開港資料館・常設展示室2の特別資料ケース。開館時間は9時30分~17時(入館は16時30分まで)。月曜休館(月曜日が祝日の場合は翌日)。入場料は大人200円、小中学生100円。毎週土曜は高校生以下無料。無料展示は4月23日まで。
同館は空調設備工事を終了し、4月10日にリニューアルオープンした。企画展示室と閲覧室の展示は4月24日から再開する。