BankART Studio NYK(横浜市中区海岸道3)で5月7日より、コミュニケーションアーティスト・土岐小百合さんの展覧会「ときたま1993-2010 コトバノチカラ」が開催されている。
コトバノチカラは、トキさんこと、土岐さんの16年以上にわたる「ときたま」の活動の集大成の展覧会。「ときたま」はトキさんが日々の暮らしの中から発見したコトバを、さまざまな形で定着した作品で、会期中は「ときたま」の活動のエッセンスを紹介するとともに、コトバによる新たな自分と世界への出会いを作り出す。
トキさんは「ときたま」の由来について「コトバがバッジになったり、Tシャツに印刷されたりして増殖していくうちに『ときたま』と呼ばれるようになりました。私の表現活動のブランド名のようなものですね」と話す。
展示は、トキさんが1993年から16年以上、毎週作り続けている官製はがきにプリントしたコトバの作品760枚。「記憶力がないので何度でも楽しめる」「常識の使い道」「恋愛はしちゃうもん」「いつも途中」などさまざまな文字が書かれている。コトバを通じて、アーティストと観客との相互コミュニケーションが生まれ、年齢、職業、性別を問わず、幅広い人たちが楽しめ、自分を再発見したり、他人との違いを認識したりできるという。
また、世界29カ国、290人以上が参加した「背中の向こうに見えるもの」とのコラボ作品を集めた「メールアート」の展示、2006年から始めた映像作品「映像onときたま」の上映も行う。「映像onときたま」は、0歳から90歳まで、620人以上のヒト、犬、亀などが、それぞれ気に入った「ときたまのことば」について30秒コメントした映像。会期中は「メールアート」「映像onときたま」ともに自由に参加することができる。
会場には、「TOKIのことば」がバッジやシール、マグネットになり詰められたガチャ「ときたまガチャ」が設置され、クッキーの中からことばが出てくる「ときたまフォーチュンクッキー」、「ときたま波紋」(Tシャツ、アロハ、タイパンツ、ふんどし)、1~600号までの「ときたま」を収録した本「ときもどき」などのときたまグッズを販売。
BankART Studio NYKのカフェでは、高さ5メートルの天井から、ときたまのコトバが書かれたハガキが落ちてきて積み上がる新作の映像作品「ときたまsnowing」の投影も行っている。
「わたしは文よりもコトバが好き」と語るトキさんは、「現実は見る人によって違っているけど、できるだけそこにある『事実』に近づきたいと思っています。『ときたま』にはリトマス試験紙みたいに、いろんな反応が返ってきます。そんな波紋が広がって、みんながそれについておしゃべりしたりして、そうする事がみんなをちょっとでも幸せにしたり、世界をほんの少し居心地良くしたりするといいと思っています。コトバにはやっぱり力があると思うんです」。
関連イベントとして、15日は、ジャズユニットと太鼓奏者のコラボ演奏「ときたまライブwithちくわぶ+谷口卓也」。30日は、建築家と映像ディレクターが出演するクロージングパーティー「ときたまはなびあげますwith尾形曜平+カシ マサフミ」を開催する。
会場はBankART Studio NYK Mini +カフェ。開催時間は11時30分~19時。入場無料。詳細は「ときたま」公式サイトより。開催は5月30日まで。
土岐さんは出版社勤務、編集プロダクション社長、出版社社長(季刊写真誌「デジャ=ヴュ」発行)などを経て、1993年より「ときたま」プロジェクトを開始。2001年10月から「ときたまガチャ」プロジェクトを始め、2009年より「ときたま」プロジェクトに専念している。