映像文化の発信拠点「野毛Hana*Hana」(横浜市中区花咲町1)は、6月19日より「アートとまちづくり」をテーマにした「全貌KAIR展覧会」を開催する。
同プログラムは、「アートとまちづくり」をテーマに、全国で文化芸術をいかしたまちづくり活動や事業を行っている組織やNPOなどを紹介し、その地域と交流を深めるシリーズ企画。各地域で行われているアートを媒体にしたプロジェクトを学びながら、それぞれの地域の魅力を発見し、相互協力の創発を目指す。
今回はシリーズ第2段として、地域間交流プログラム「アートとまちづくり:神山x野毛」と題し、四国・徳島県の神山町で行われている国際的なアート・プロジェクト「神山アーティスト・イン・レジデンス(KAIR)」を紹介する。
KAIRは、今年12年目を迎えるアーティストの短期滞在を支援する公募事業。同展覧会では、アーティストと地域住民が固有の文化や言語を超えたコミュニケーションによって作り出した全36作品の中から、近年を中心に18作家の代表作を展示する。
出品作家は、ストレイドム・ファンダメルヴェさん(南アフリカ)、林田直子さん(日本)、録澤壽雄さん(日本)、シャーロット・ブリスランドさん(イギリス)、内海聖史さん(日本)、スベトラーナ・ガーボヴァさん(ロシア)ほか。
展示は2会場で行われ、第1会場=野毛Hana*Hana、第2会場=オープンスペース兼カフェ「nitehi works」(中区若葉町3)。
会期中は、神山町と野毛の魅力に触れるさまざまな関連イベントを実施。6月19日は、NPO法人横浜シティガイドによる野毛の歴史と文化を学ぶツアー「野毛街歩きガイド」。20日は、神山町と野毛の人々が相互理解を深め、アートによるまちづくりについて語るシンポジウム「地域間交流:神山×野毛」。
26日は同展覧会のキュレーターによる展示会場含む近隣のアート施設を巡るツアー「横浜下町アートガイド」。27日は、神山と横浜に滞在しながら盆踊りを作成したアーティスト・山中カメラさんによるオリジナル盆踊りを楽しむ「山中カメラのBON-DANCE大会」を行う。
イベントを担当する嘉藤笑子さんは「神山アーティスト・イン・レジデンスは、まちとアートとひとが、緩やかにつながっていくプロセスを大切にした事業といえます。神山は、静かな山村で過疎地域としての問題を抱えながら、芸術をいかした町おこしでまちが元気になっているところです。時間のながれが横浜とは違いますが、まちを愛する気持ちと、アートを大切にするこころが十分に感じられる展覧会になると思います。シンポジウムやBON-DANCE、展覧会などを通じて地域の魅力を再発見する機会になればと思います」と話す。
開催時間は野毛Hana*Hana=11時~19時(入場無料)、nitehi works=12時~22時(観覧自由、カフェのためオーダーは実費)。詳細は「野毛Hana*Hana」の公式サイトより。展覧会は6月27日まで。
神山のアート活動は、神山町のNPO法人グリーンバレーを中心に1999年にスタート。アーティストの短期滞在支援「KAIR」をはじめ、森林整備事業、劇場の再生、棚田づくり、過疎地域の移住者誘致や空き家再生など、まちの活性化を目指した多彩な活動を展開している。過疎化を前向きにとらえた町おこしの取り組みが評価され「2009年度国際交流基金地球市民賞」を受賞している。