BankART Studio NYK(横浜市中区海岸通3)で舞台美術家・朝倉摂さんの展覧会「朝倉 摂展 アバンギャルド少女」が開催されている。
朝倉さんは1922年東京都生まれ。日本画を学び、画家として1953年に上村松園賞を受賞。1970年にロックフェラー財団の招きで渡米し、ニューヨークで舞台美術を研究。以降、古典から前衛劇、オペラなど多彩な分野の美術を手掛け、国内外で第一線の舞台美術家として活動を続けている。
今回の展示は、BankART studio NYK全館2,400平方メートルを利用した大展覧会。8ブロックの会場で、古典や現代劇の舞台模型(2分の1スケール)、舞台のためのプランドローイング、舞台転換の映像、絵本の原画や新聞連載小説の挿絵、アーカイブ写真12点(各4×10メートル大)などを紹介する。
3階3Cギャラリーには、同館の環境を生かして朝倉さんが考案した「ASAKURA BankART シアター」を展示。舞台にも客席にもなるユニットで構成された劇場で、1階・2階の回廊部分が客席。ユニットのステージ、階段は独立で取り外しが出来るよう設計されている。
会期中は関連イベントとして、舞台・展示作品を使用した公開対談やパフォーマンスを実施。10月11日に行われたトークプログラムには、演劇評論家の扇田昭彦さん、映画監督の篠田正浩さん、朝倉さんが登場し、過去の作品を振り返りながら演劇、映画のこれからについて語った。
10月26日は、資生堂名誉会長の福原義春さんと朝倉さんの公開対談。29日は、ユニット「オフニブロール」(矢内原美邦さん+高橋啓祐さん)、中村恩恵さん(舞踊家)+廣田あつ子さん(ダンサー)、30日は、能楽師の梅若猶彦さん、打楽器バンド「オムトン」が出演しパフォーマンスを披露する。関連イベントの料金は2,000円(展覧会チケット半券持参で500円引き)。定員120~150人。
BankART1929代表の池田修さんは「88歳を超えて現在も活発に活動を続けている舞台美術家・朝倉摂さんによる大規模な展覧会。BankART studio NYK全館で繰り広げられる展示を通して、朝倉さんが手掛けてきた多彩な舞台や仕事を実感することができます」と話す。
開催時間は11時30分~19時。観覧料は一般900円、学生600円(横浜市民は半額、高校生以下65歳以上無料)。問合せはBankART1929(TEL 045-663-2812)、11月7日まで。
朝倉さんの代表作は、舞台「近松心中物語」・「ヤマトタケル」(スーパー歌舞伎)・「エンジェルス・イン・アメリカ」・「海の上のピアニスト」ほか。映画では、篠田正浩監督の「写楽」「梟(ふくろう)の城」の衣装を担当。1980年テアトロ演劇賞、1982年日本アカデミー賞優秀美術賞、1987年紫綬褒章、1995年読売演劇大賞優秀スタッフ大賞、2006年文化功労者など、多数の賞を受賞している。