ヨコハマ映画祭実行委員会は、映画ファンが主催する映画祭として知られる「第32回ヨコハマ映画祭」の開催に先駆け、2010年度の日本映画ベストテンと個人賞を発表した。
グランプリは三池崇史監督の「十三人の刺客」。俳優の役所広司さんが主演で、中仙道の宿場町を舞台に、明石50万石の藩主を狙う十三人の刺客の姿を描いた時代劇映画。作品賞・監督賞・脚本賞のほか、映画に出演した松方弘樹さんが特別大賞に輝き、4冠を獲得した。2位は中島哲也監督の「告白」、3位は李相日監督の「悪人」。
以下、4位「川の底からこんにちは」(石井裕也監督)、5位「今度は愛妻家」(行定勲監督)、6位「必死剣鳥刺し」(平山秀幸監督)、7位「孤高のメス」(成島出監督)、8位「ヌードの夜 愛は惜しみなく奪う」(石井隆監督)、9位「パーマネント野ばら」(吉田大八監督)、10位「時をかける少女」(谷口正晃監督)と続く。
「川の底からこんにちは」が、新人監督賞と主演女優賞(満島ひかりさん)の2冠を獲得し、石井監督、満島さんは夫婦での受賞。また、「今度は愛妻家」が撮影賞と主演男優賞(豊川悦司さん)、助演男優賞(石橋蓮司さん)の3部門を制覇した。
最優秀新人賞に輝いたのは、向井理さん(「BECK」「ハナミズキ」)と佐藤寛子さん(「ヌードの夜 愛は惜しみなく奪う」)。
今年の各賞は映画評論家、ジャーナリストら34人の投票で決まった。
表彰式と上映会は、来年2月6日に関内ホール(横浜市中区住吉町4)で開催される。当日は「十三人の刺客」「川の底からこんにちは」「今度は愛妻家」の3作品を上映するほか、各賞受賞者やゲストを招いた表彰式、最新作予告編上映を開催。入場料は前売2,500円、当日2,800円。チケットぴあで12月25日から一般発売開始。詳細は同映画祭サイトから。
ヨコハマ映画祭実行委員会代表の鈴村たけしさんは「これまでの受賞作はミニシアター系の映画の評価が高かったが今回は元気がなかった。邦画は昔のような『暗い』『ださい』というようなイメージがなくなってきた。日本映画がさらに活性化していくことを期待したい」と話す。
今年で32回目を迎える同映画祭は、自治体やスポンサーからの支援を受けず、会社員や学生など日本映画ファンがボランティアで主催する映画祭。審査員を務めるのは映画評論家や映画ライターなどの映画関係者と一般映画ファンで、映画人と映画ファンの出会いの場となっている。今年2月に行われた「第31回ヨコハ マ映画祭」には女優の小西真奈美さんをはじめとする約40人の映画人と1,100人の映画ファンが訪れた。