若葉町の古ビルを既存再生したオープンスペース兼カフェ「nitehi works」(横浜市中区若葉町3)で4月2日より、美術作家・深堀隆介さんの展覧会「非なる緋」が開催されている。
深堀さんは愛知県出身、横浜市在住の金魚絵師で「金魚」をテーマにさまざまな表現を試みている。会期中は樹脂作品をはじめ、パフォーマンスで制作した巨大屏風絵、魚の骨の造形物、映像など、深堀さんの手掛けてきた多彩な金魚の作品を紹介する。
2003年~2011年に制作された「金魚酒」は樹脂を使った深堀さんの代表作で、「鳴門(なると)」「淡屋(あわや)」「瑞椿(ずいちん)」「天湯女(あまゆめ)」、香具夜「花歌(はなうた)」、椀「白澄(しらすみ)」など、樹脂の色合いや質感、絵画表現の変遷を辿ることができる。
「うまく金魚を描くことよりも、僕の生み出した金魚が生きているかどうかが一番大切。金魚が平面から飛び出てくるような感覚で、金魚の泳いでいる時間を含めて表現したい」と話す深堀さん。
2日に行われたトークイベントでは、「僕は金魚に日本人と同じルーツを感じ、『金魚に日本人を見ている』。もし、いわしやサンマだったら描き続けていなかったと思う。自分のアイデンティティを刺激するものが金魚にあった」と金魚への思いを語り、「このnitehi worksという空間からインスピレーションを受けた作品を、タイムスリップするような感覚で配置した。心が折れそうになっていた僕を、飼っていた1匹の金魚が救ってくれたように、皆さまにも『金魚救い』があることを願っている」とも。
会期中は、東日本大地震にともなうチャリティドローイングとして、絵はがきを1枚1,000円で販売し、売上げを義援金として寄付する。また、1階カフェでは、金魚にちなんだ赤いカクテルやビールも提供している。
会場はnitehi works1階「オープンスペース&カフェ」、中2階「多目的スペース」など。開催時間は17時~21時30分(土曜・日曜は15時~)。入場無料、1オーダー制。4月25日まで(12日・19日は休館)。