神奈川県は、8月1日から始まる「かながわ子ども・子育て支援月間」のキャンペーンサイトで、インターネットの動画配信サービス・USTREAMを活用し、子育て支援情報を発信している。チラシなど紙媒体を動画で映して見せる仕掛けにしており、ネット・ITが不得意な団体の発信を代行し、きめ細かい子育て支援情報の提供を目指す。
映像の配信を担当しているのはクリエイター支援スペース「自在関内オフィス」(横浜市中区相生町3)代表の今井嘉江さんとアーティスト・須永健太郎さん。
今回、動画による情報配信プロジェクトを企画したのは、事業を県から委託している相鉄エージェンシー。今井さんは、横浜市西区を中心に、子育てや青少年自立支援に取り組む「特定非営利活動法人シャーロックホームズ」(西区南軽井沢18)の代表で、同法人が2010年4月から県の「かながわ子育てポジティブキャンペーン」事業を担当している縁で、今回配信を担当することになった。
動画配信サイトで、紙チラシをビデオカメラで映して配信するというアイデアは「パソコンを使った情報発信が苦手」という今井さんも共感。ITに詳しい人がいない市民団体でも、チラシや会報など紙媒体は発行していることが多い。既にある紙情報を送ってもらい、事務局が代行してソーシャルメディアに載せることで、より多くの人たちに周知することを狙ったという。
この映像配信のディスプレーをディレクションしているのが、針金などを使って独特の人の形を制作している「念形師(ねんぎょうし)」の須永さん。子育てイベントを須永さんの創作した「念形」が案内する仕立てになっている。この掲示スペースに紙の資料を貼付けることで、インターネットを使いこなせない団体などの告知や報告をネット上に配信できる。
画面上の掲示スペースには、プラレールなど子どもの興味を引くものも飾られている。アーティストの感覚を生かして画面の構成を制作している須永さんは「文字情報が主体の従来の広報と違い、『遊び』の要素を取り入れることで、お母さん世代だけでなく今まで子育て情報に触れる機会がなかった人たちにも届くようにしていきたい。針金でつくった『念形』をコマ撮り撮影したプロモーション映像が毎正時に流れるのでこちらもぜひ見てください」と語った。
また、今井さんは「今までインターネットで情報発信ができなかった人や団体にどんどん利用してほしい。さらに今後は、自在関内オフィスを子育て団体をはじめとする地域で活動する団体やアーティストたちが『つながる場』にしていきたい」と話している。
イベントの開催情報などの掲示依頼はファクシミリ、メール、郵送で受け付けている。動画配信は8月31日まで。