横浜市内で8月6日、現代美術の国際展覧会「ヨコハマトリエンナーレ2011」が開幕した。
同展のタイトルは、「OUR MAGIC HOUR -世界はどこまで知ることができるか?-」。横浜美術館(横浜市西区みなとみらい3)と日本郵船海岸通倉庫「BankART Studio NYK」(中区海岸通3)の2会場をメーンとする屋内外に、国内外の現代美術作家77組(79人)のアーティストを中心にした作品300点以上を展示する。
総合ディレクターは横浜美術館館長の逢坂恵理子さん。アーティスティック・ディレクターは、パリにあるアートセンター「パレ・ド・トーキョー」チーフ・キュレーターなどの活動をしている三木あき子さんが務める。
同展は世界や日常の不思議、魔法のような力、神話、伝説、アニミズムなどを基調とした作品で構成。横浜美術館では、現代美術作品とともに、所蔵作品の近代絵画、浮世絵やコプト織などの歴史的作品から妖怪グッズまで、制作年代・素材・ジャンルが異なる多種多様な作品を紹介。日本郵船海岸通倉庫では、植物や霧、砂といった生の素材を用いた大型インスタレーションや、会場でアーティスト自身が創り上げる彫刻作品などを展示する。
参加作家は、ジェイムス・リー・バイヤース(アメリカ)、ライアン・ガンダー(イギリス)、クリスチャン・マークレー(アメリカ)、カールステン・ニコライ(ドイツ)、ジュン・グエン=ハツシバ(ベトナム)、ウーゴ・ロンディノーネ(スイス)、リナ・バネルジー(インド)、N.S. ハルシャ(インド)、マッシモ・バルトリーニ(イタリア)、オレリアン・フロマン(フランス)、ヘンリック・ホーカンソン(スウェーデン)、孫遜(中国)ほか。
国内からは、佐藤允、杉本博司、田名網敬一、田口和奈、田中功起、八木良太、池田学、泉太郎、森靖、横尾忠則ほか。ニューヨーク在住のオノ・ヨーコは、東日本大震災の発生を受け、当初のコンセプトを変更し、ヨーコさん本人が電話をかけてくる新作「TELEPHONE IN MAZE」を出品している。
開幕直前の記者会見で、逢坂さんは「私たちは何ができるのか、何をすべきなのか思いを深めながら準備を進めてきた。厳しい状況の中、災害後も国内外のアーティストより積極的な参加の意思と激励をいただき、それが私たちの力となった。原点に立ち返って、展覧会を開催し美術の力を伝えてゆくことが、私たちの使命であると改めて実感している」と語った。また、三木さんは「展示会場には、『起源』『生命力』『魔術師』などの多くのキーワードが隠されています。混沌とした雰囲気の中から、皆さんの自由な想像力で独自の展覧会ストーリーを紡ぎ出してもらえれば」と話す。
会期中は、作家が制作したステッカーを来場者が美術館前の工事囲いに貼るアーティスト・プロジェクト「autoR」(カールステン・ニコライ)、グリーンハウスの中で植物に音楽をきかせる「ミュージック・フォー・プランツ」(ピーター・コフィン)、市内小学校のマーチングバンドによるアートパレード、アーティスト・トークなどさまざまな関連イベントを実施。
また、特別連携プログラムとして、全国から集まったクリエイティブチームが新港ピアに「村」をつくるアートプロジェクト「新・港村~小さな未来都市」(BankART Life III)、黄金町エリア全体を使ったアートイベント「黄金町バザール2011」も開催される。
開場時間は11時~18時(入場は17時30分まで)。入場料は一般1,600円、大学・専門学校生1,000円、高校生600円。岩手県、宮城県、福島県所在の大学・専門学校・高校在学生は入場無料。ヨコハマトリエンナーレ2011と特別連携プログラム会場に入場できる特別連携セット券も発売している。展覧会は11月6日まで(休館日あり)。
横浜トリエンナーレは、2001年にスタートした現代美術の国際展覧会。第2回展は2005年開催。第3回展は2008年に開催され、世界25カ国・地域から72人の作家が参加し、2008年9月13日~11月30日の79日間の会期中に30万人以上が来場した。