横浜市中区の名画座「シネマ・ジャック&ベティ」(横浜市中区若葉町3)と周辺の地域で、「よこはま若葉町多文化映画祭2011」と、アートイベント「横浜下町パラダイスまつり」が同時開催されている。
若葉町周辺にゆかりのある国の映画を通じて、多文化共生について考える参加型の映画祭「よこはま若葉町多文化映画祭」と、アーティストを通じてもうひとつの世界を垣間見る「横浜下町パラダイスまつり」。横浜市の映画祭開催支援認定事業の一環として行われる。
会期中は、映画館「シネマ・ジャック&ベティ」と、アーティストによる非営利団体「ART LAB OVA(アート・ラボ・オーバ)」が映画館の1階で運営しているアートスペース「横浜パラダイス会館」の2つの拠点を舞台に国際色豊かなさまざまなイベントを実施する。
よこはま若葉町多文化映画祭は、横浜にゆかりのある国(中国、韓国、タイ、フィリピンなど)の題材を扱った話題作を上映。作品は、「思春期の葛藤」をテーマにした短編を手掛けてきたエズミール・フィーリョ監督初の長編作「名前のない少年、脚のない少女」(ブラジル/フランス)、作品「ブンミおじさんの森」で2010年カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞したアピチャッポン・ウィーラセタクン監督の長編第1作「真昼の不思議な物体」(タイ)、主演のジェット・リーが自閉症児の父親役を演じる「海洋天堂」(中国)、首都圏に住むアイヌの人々の歴史と今を描いた「TOKYOアイヌ」(日本)など計7本紹介する。
上映の前後には、横浜パラダイス会館でアートイベントを楽しむことができるほか、横浜下町パラダイスまつりの無料パンフレットや、半券の提示で、近隣のお店の割引を受けることもできる。
横浜下町パラダイスまつりには、映像作家、写真家、演劇制作者、ダンサー、劇作家、詩人、音楽家、アーティスト、霊能者、ART LAB OVAが参加し、若葉町界隈の商店で多彩なアートプロジェクトを展開する。
内容は、タイ・レストラン「ナムチャイ」での写真展「わたしのタイランド★コップクンカー」(鈴木カズキ×パフォーマースナッチ)、コインランドリーを会場にした展示「ぜんぶざぶざぶ」(安東和之)、近隣のストリップ劇場を巡るツアー「女も男もストリップ劇場に行ってみよう!」(ART LAB OVA)など。
9月3日は、「カフェ・ラオスの日」と題して、ラオスの森林保全プロジェクトを考える「おいしいラオスコーヒーとソーラーケーキ~ラオス・カフェ」、ベトナム戦争当時に米軍の傭兵となり、故郷ラオスを追われた山岳民族モン族の息子が半生を語る「テンテンのアメリカ移民系モン族今昔物語」などのトークイベントを行う。
イベントの企画の中心は、1996年より横浜市中区で「アートセンター」を運営している「ART LAB OVA」。社会的立場や障がいの有無、年齢、国籍などに関係なく、アートを通じていろいろな人が交流できるプロジェクトをまちで展開している。2007年から若葉町周辺の外国籍の子どもたちに向けた多文化共生プロジェクトに取り組む。
ART LAB OVA共同代表で、よこはま若葉町多文化映画祭実行委員長の蔭山ヅルさんは「映画をみた後にトークやイベント交流会に参加したり、アーティストのプロジェクトを通じて、映画館のある多文化地域を見直したり、近隣のお店でご飯を食べたり。わたしたちの身近な町で、映画の世界と現実の世界での小さな旅を楽しんでいただけたらと思います」と話す。
映画祭の入場料は作品による(映画祭期間中は3回券チケット3,900円を販売)。イベントは9月4日まで(映画祭は9月2日まで)。