相鉄本多劇場(横浜市西区南幸2)で9月20日より、東北3県の演劇人による公演、PAW2011「東北・復興week」が行われている。
同イベントは、岩手県、宮城県、福島県の3団体による招聘公演。東日本大震災の東北復興に向けたネットワーク事業として開催する。横浜市マザーポートエリア活性化推進事業の一環で、主催は「横浜ふね劇場をつくる会」、演劇の企画・運営を行うNPO「PAW Yokohama」。
参加団体は、「仙台からオリジナル同時代演劇を世界に発信する」をコンセプトに活動する「Gin's Bar」(宮城県)、盛岡市を拠点とする「架空の劇団」(岩手県)、「近代演劇からの脱却あるいは批判」をテーマに福島市を拠点に活動する「満塁鳥王一座」(福島県)。
上演作品は、9.11アメリカ同時多発テロ直前のニューヨークを舞台にした大きな悲劇の中の小さな家族の物語「BLACK -家族の肖像-」(Gin's Bar)、震災を食べ物の視点から構成し、朗読劇で震災と被災者の足跡を描いた「瓦礫と菓子パン~リストランテ震災篇」(架空の劇団)、詩的な書き下ろしテキストや、新聞記事、福島県ゆかりの文学作品などの引用を織り交ぜ、震災以降のフクシマに対する「浄化」をキーワードにした「キル兄にゃとU子さん」(満塁鳥王一座)。
25日は、演劇評論家 西堂行人さん(近畿大学文芸学部教員、演劇批評誌シアターアーツ編集長)の司会で、「演劇に出来ること」と題したシンポジウムを実施する。パネリストは、「劇団満塁鳥王一座」作・演出家の大信ペリカンさん、「架空の劇団」作・演出家のくらもちひろゆきさん、杜の都の演劇祭プロデューサー鈴木拓さん(仙台、ARC>T事務局)、演出家の大西一郎さん(日本演出者協会事務局長、横浜未来演劇人シアター製作総指揮)、演劇評論家の柾木博行さん(演劇批評誌シアターアーツ編集部、演劇情報サイト・ステージウェブ主宰)。
横浜ふね劇場をつくる会、会長の中村實さんは「東日本大震災の被災地では使用できる劇場もほとんど無く、特に宮城県では公演の機会すらないのが現状です。横浜演劇人の連帯の証として東北三県の演劇人に公演の機会を提供し、彼らが震災を経て表現活動の何が変わったのか、変わらなかったのか、共に考える機会が持てたらと思います」。また、PAW Yokohama代表の一宮均さんは、「私たちは今回の震災をどう乗り越えていくのだろうか。ただ元に戻ればいいということではないはずだ。これまで作り上げてきた価値観の大きな変更が問われると思う。その時演劇人はどう対応していくのだろうか。3・11以降の演劇に問われていることを検証していくことは必要な事と思う」と話している。
料金は各公演とも前売2,000円、当日2,500円、学生1,000円。25日のシンポジウムは1,000円(PAW2011チケット半券で500円)。チケット購入はCORICH予約システムより。9月25日まで。