家族や地域のつながりを大切にしながら、働き続けられる社会づくりについて考える「企業とNPOの子育て支援協働推進セミナーin YOKOHAMA~ワークライフ・バランスの実現による次世代育成のための環境整備」が11月8日、横浜市社会福祉センター(横浜市中区桜木町1)で開かれる。
乳幼児や介護が必要な高齢者などを抱える働き手が、仕事を辞めずにすむ社会をつくるために、企業・NPO・行政がそれぞれどのような役割を果たすべきか、基調講演やパネルディスカッションを通じて考える。このセミナーは2003年の「次世代育成支援対策推進法」施行を期に始まり、今年で8回目となる。
こども未来財団(東京都港区)と日本フィランソロピー協会(千代田区)が主催。同協会は、企業の社会貢献、企業人が地域に戻って公益を担う場としてのNPO法人支援などに力をいれてきた。
このセミナーは子育てや介護と仕事が両立する社会づくりにむけて、企業・NPO法人・自治体などの各プレイヤーが果たす役割を確認し、次の世代を育むネットワークを広げる目的で企画された。
セミナーでは、筑波大学大学院人文社会科学研究科教授で経済学者の田中洋子さんが「持続可能な働き方をめざして~ドイツと日本の試み」と題して基調講演する。田中さんは、ドイツを中心に、ヨーロッパの労働・企業環境を長年研究している。自身も子育てを経験した視線で、同国で子育てと職業の両立がしやすくなっている事情について、さまざまな制度や事例を紹介しながら解説。
特に、育児や介護など「収入にはならない家庭・地域の労働」を尊重する国民性などについても言及する。
さらに、パネルディスカッションでは「家族と地域のつながりを育む働き方とは」をテーマに、企業・NPO法人・地方自治体の関係者らが議論を展開。企業の立場で登壇するのは、高島屋人事部人事政策担当次長の中川荘一郎さん、向洋電機土木総務部課長で、育児と介護に奮闘中の横澤昌典さん。また、子育て・介護をしている人たちを地域の仕事につなげる仕組み作りにチャレンジしている「NPO法人I Loveつづき」(都筑区)理事長の岩室晶子さんもパネリストとして登場する。
セミナーを企画した同協会担当者の加勢川佐記子さんは「次世代を育んでいくときに、いま必要とされているのは子育ての社会化ではないでしょうか。家庭に閉じていた介護が介護保険によって、社会で担うようになった動きと同様、子育てが社会に開かれていくためには、企業・NPOなど地域団体・自治体などが連携して課題解決に取り組む必要があります。セミナーでその実践のきっかけを得てもらえたら」と話している。
また、パネルディスカッションのコーディネーターで、NPO法人神奈川子ども未来ファンド事務局長の米田佐知子さんは「子どもは地域で育っていきます。『働く×子育て=ワークライフ・バランス』ということだけでなく、家族・企業・NPOが『地域社会でどのような役割を果たしていくことができるか』も考えるシンポジウムにしたいと思っています」と話している。
セミナーは13時30分~17時10分。参加無料。