東日本大震災による津波で流されたアルバムや写真を洗浄して、持ち主に返すボランティア活動「MM(みなとみらい)思い出返し隊」が、三菱重工横浜ビル(横浜市西区みなとみらい)で継続的に行われている。
2011年8月より始まったこの活動は、三菱重工に勤務する竹中麻希子さんの発案。きっかけは、竹中さんが7月に、岩手県山田町でボランティア活動に参加した際に、家屋のがれき撤去作業をする予定だったが、悪天候で屋内で写真洗浄を行ったこと。「この活動なら、写真を神奈川に送れば、被災地に行かなくても支援ができるのでは」と思い、会社に提案し、同社のCSR活動の一環として、ビル内のスペースの提供を受けることができた。
8月から12月上旬までに、宮城県名取市閖上(ゆりあげ)地区の約4万枚の写真を洗浄・整理し、現地に送り返した。参加したボランティアは、同社の社員だけでなく、近隣の会社員や主婦など、のべ1200人以上になるという。活動は、月~金は18時から20時、土日祝日は9時半から12時と13時~16時の2部制で、毎日平均10人ほどで作業を行ってきた。
竹中さんは「みなとみらい地区での活動は、実際に被災地に行った人と、行きたくても行けない人や、行くかどうか迷っている人の情報交換の場にもなっています。洗浄に来たことがきっかけで、被災地に足を運んだ人もいます。震災が風化しつつあると言われていますが、活動を続けていくことが『被災地を忘れない』ためのメッセージになれば」と話す。
12月中旬からは岩手県陸前高田市で回収された写真の洗浄に取り組んでいる。2012年は1月9日から活動を開始する予定。