地域の課題解決にビジネスの手法を用いて取り組む事業者の現場を視察する「第1回ソーシャルビジネスフィールドワーク」(SBF)が5月30日、魚屋カフェ「濱の市」(横浜市神奈川区大口通2)で開催される。横浜で起業を目指す人や既存事業による地域貢献を考える経営者らが対象。
視察会は、横浜で、社会的な課題の解決を目指して事業を展開している経営者の現場に出向き、地域性を踏まえた実践について意見を交換し、参加者のビジネスプラン作りに生かしてもらおうと企画された。
第1回は「濱の市」を経営する坪倉良和さんを訪問する。横浜市中央卸売市場(神奈川区山内町1)に水産加工品の二次卸(水産仲卸)の店「坪倉商店」を構えていた坪倉さんは、大規模な郊外型スーパーマーケットに消費者が流れ、顧客である「まちの魚屋」が次々と閉店していく状況を目の当たりにした。
「みずからが商店街活性化のモデルケースとなることを目指して活動し、他の商店主たちを元気づけたい」と、あえてシャッター通りと化していた大口通商店街で、飲食店と魚屋を兼ねた珍しい店舗の魚屋カフェ「濱の市」を2009年末に開業した。
5月初旬、2年間を一区切りに飲食店のみ閉店。今後は、新規事業展開を目指す事業者や起業家を支援するため、無償のスペースとして貸し出すこととし、利用者を募集している。
SBFを企画する横浜市経済局の斉田裕史課長は「固有の課題を抱えた地域に実際に足を運び、現場を肌で感じながら事業者の声を聞く視察会。自分の目で見て、意見を交換し、メディアなどの情報では得られない事業作りのヒントを得てほしい。また、事業者にとっても、自分の活動のフィールドで、参加者に思いを直接伝え、逆に意見をもらうことで、新たな視点を得ることにもつながる」と話している。
申込締切は5月28日(定員15人になり次第、受付終了)。申し込みはソーシャル・ポート・ヨコハマのウェブサイトで。問い合わせは事業を受託するNPO法人横浜コミュニティデザイン・ラボ (TEL 045-664-9009)。
SBFの事業は、横浜市が今年度から始めた「ソーシャルビジネス普及事業」の一環で、今後も福祉・環境・子育てなど多彩なテーマで視察事業者を選び、2013年3月までに、月2回、20回の開催を予定している。