アニメーションスタジオ「 I.TOON(アイトゥーン)」制作の短編アニメーション作品「HARBOR TALE(ハーバーテイル)」が、チェコの映画祭「ZLIN FILM FESTIVAL」でダブル受賞を果たした。
ZLIN FILM FESTIVALで表彰される伊藤有壱監督
ZLIN FILM FESTIVALは、人形アニメーション大国と言われるチェコの都市「ズリーン」で5月27日から6月3日まで開催。今年で52回目を迎える歴史ある映画祭で、アニメーションをはじめ、児童や青少年に向けた映像など、48カ国から246作品がエントリーされた。
今回、同映画祭の子供向け短編アニメーション映画「インターナショナル・コンペティション部門」にノミネートされた60作品の中で、 I.TOON制作「ハーバーテイル」がアニメーション部門の最優秀賞と観客賞を同時受賞した。
I.TOONは、立体アニメーションを得意とするアニメーションスタジオ。2006年に横浜に移転し、元物流倉庫ビルの倉庫をリノベーションしたオフィスビル「万国橋SOKO」(中区海岸通4)にスタジオを構える。これまでに、NHK教育テレビの「ニャッキ!」やNHKみんなのうたの「グラスホッパー物語」などを手掛けてきた。
ハーバーテイルは、港町の洋館から抜け出した赤レンガの物語。横浜が港町「Y」のモデルとなっており、レンガ作りの洋館の一部として100年間港町のうつろいを眺め続けてきた「一片の赤いレンガ」が、ある日レンガの壁を抜け出し、街の中に出かけるとさまざまな出会いが待っているというストーリー。上映時間は約18分。
同作品は、米国アカデミー賞公認の国際短編映画祭「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2012」の「旅シヨーット!プロジェクト」にもノミネートされており、みなとみらいのショートフィルム専門劇場「ブリリア ショートショート シアター」で6月21日と27日に上映される予定。
「I.TOON」を主宰する伊藤有壱さんは「横浜で制作された『ハーバーテイル』がヨーロッパでも歴史ある映画祭で認められた事をとてもうれしく受けとめています。これからもこの地から世界に発信していく大きな勇気を頂いた思いです」と話している。
ハーバーテイルは、粘土や人形などの立体物を撮影したストップモーション(コマ撮り)アニメーションに、現実や空想の港街の風景を最新のデジタルワークで紡ぎあわせたアニメーション映画。クラフトアニメーションディレクターの伊藤さんが、映像業界の最前線で活躍するスタッフとともに約5年間かけて完成させたオリジナルストーリーで、「ネオクラフトアニメーション」と呼ばれる、技術的挑戦と実験を積み重ねて開発した新しい映像スタイルの作品。