神奈川県立歴史博物館(横浜市中区南仲通5)で、昭和20年代の戦後復興を振り返る特別展「ヨコハマ・ヨコスカ ストーリー -二つの港町の戦後文化-」が開催されている。
同展では、「横浜」「横須賀」という2つの都市を舞台に展開した昭和20年代の様相を、音楽や映画、ファッション、食物などにまつわる資料約130点を通して紹介する。
展示物は、戦後直後の英会話ブームをしのばせるラジオテキスト英語会話、輸出用おもちゃやシルク製品、日本貿易博覧会記念電車普通乗車券、仮装文化祭のパレードに参加するミス横浜・ミスター横浜のパネル、米軍兵士向お土産絵葉書、野毛柳通りの老舗洋食店「センターグリル」のロゴ額や食器、横浜市警察本部と横浜市交通安全協会が共同して発行した「よい子の交通双六」、横須賀市の観光宣伝パンフレット用に中村慈郎画伯が描いた「横須賀市観光鳥瞰図」。
そのほか、米国式の映画館やゲームルーム、読書室、スポーツ用コート、ビアホール、お湯の出るシャワー室、1万本以上のビールを収納できる冷蔵設備などが完備した「EMクラブ(兵員クラブ)」の写真や劇場公演プログラムなど。
横須賀海軍軍楽隊の出身で、戦後の横須賀でジャズと出会い、横浜で「原信夫とシャープス&フラッツ」を結成して国内外で活躍した原信夫さんと、2007年に73年の歴史に幕を下ろした野毛の老舗ジャズ喫茶「ちぐさ」(今年3月に新装開店)にスポットを当てた初公開の資料も並ぶ。
同館学芸部長の寺嵜弘康さんは「戦後の苦しい時代を生きる人々の生活に、ジャズや映画などの娯楽は未来への希望を与える糧であったと思う。音楽が人々の力や癒しになっているのは、戦後も今も同じだと感じている。戦争で焼け野原になった横浜が大都市として復活した歩みを伝えることで、東日本大震災の被災地へエールを送れたら」と話している。
開館時間は9時30分~17時。月曜休館。観覧料は大人900円、20歳未満・学生600円、高校生100円。6月17日まで。