実業家で茶人の原三溪によって作られた日本庭園「三溪園」(横浜市中区本牧三之谷58)で、8月11日から「夏の古建築公開」が開催される。
会期中は、三溪が壮年期・晩年期の住まいとして建てた2棟「鶴翔閣(かくしょうかく)」「白雲邸(はくうんてい)」(横浜市指定有形文化財)の内部を特別公開し、当時使われていた家具の展示や日替わりの体験・講座・講演を行う。
鶴翔閣(1902建築)は、三溪が子供たちと暮らした延床面積約950平方メートルの近代和風建築で、その名称は鶴が飛翔(ひしょう)する姿を思わせる外観からとったと言われている。当時、横山大観や和辻哲郎など著名な画家や学者たちが出入りしていた。
白雲邸(1920年建築)は、三溪が晩年期に夫人と過ごした隠居所として知られる数寄屋建築。内部は装飾性が抑えられた素朴な造りで、部屋は和風の中に洋風を取り入れた談話室や多種の銘木や螺鈿(らでん)があしらわれた三溪棚のある奥書院など。
関連イベントとして、「鶴翔閣」では、初心者のための茶道講座「お茶会、はじめの一歩」(11日)、講演「建築野外博物館としての三溪園の魅力~川崎市立日本民家園と旧矢箆原家住宅を通して考える~」(12日)、講演「飛騨白川郷合掌造り集落における生活と使われた民具」(13日)、体験「紙で組み立てる合掌造り」(12日・13日)、体験「瓦の拓本をとってみよう」(14日~16日)を実施。そのほか、夏休みイベントとして「ザリガニつり」(11日~16日)を開催する。
三溪園 広報担当の吉川利一さんは「三溪園には、寺院建築や数寄屋建築のほかにも白川郷から移築された合掌造りの建物があり、今回の公開では、園内の建物では異色の合掌造りにスポットを当てた講演を行います。野外建築博物館としての一面も持つ三溪園の魅力・価値を再認識いただけたら」と話す。
開園時間は9時~17時(入園は16時30分まで)。古建築の公開は16時30分まで。入園料は一般(中学生以上)500円、65歳以上300円、小学生200円。8月16日まで。