神奈川県庁(横浜市中区日本大通1)で12月19日、シンガー・ソングライターの白井貴子さんが作ったCD「松の花音頭」を黒岩祐治神奈川県知事などに手渡す贈呈式が開催された。
白井貴子さんは神奈川県出身で1981年に歌手デビュー。ライブに定評があり、学園祭などで人気を博したのち、ロック、ポップスと多彩に活動を繰り広げている。現在、神奈川県の環境大使でもある。
「松の花音頭」は白井さんが、昨夏に訪れた陸前高田の仮設住宅に住む男性の「生活は無事におくれるようになってきたが、こんな時だからこそ心が元気になれる歌が欲しい」という言葉を受けて作詞・作曲した。被災した住民がクーラー完備の仮設住宅で、部屋の中に閉じこもっている状態が気になっていた白井さんは「盆おどりの唄がいいのではないか。みんなが交流できるし、天国の人に捧げるおどりでもあるから」と即座に提案したという。
曲は陸前高田の奇跡の一本松と春先に咲く花をイメージして作られた。詞は「一人一人が松の花、一歩一歩ずつ松の花…」と復興への応援ソングとなっている。録音には、陸前高田の子ども達の歌声のほか、奇跡の一本松から取った音、津波に遭った松の木を切って太鼓代わりに叩いた音、流されずに残った陸前高田の太鼓の音を使い、神奈川県立中央農業高校の和太鼓部も参加した。
贈呈式では、神奈川県知事、陸前高田市長の出身地である足柄郡松田村町長、ロータリークラブの横浜・川崎の地域ガバナー、藤沢市にある岩手、宮城、福島の3県合同アンテナショップの専務理事へと白井さんからCDが手渡された。その後、陸前高田から当日に駆けつけた踊り手、県立中央農業高校の和太鼓部を交えて「松の花音頭」が披露され、会場は賑やかな歌声と太鼓、手拍子に包まれた。
また、神奈川県のゆるキャラたちが陸前高田のマスコットキャラクター「たかたのゆめちゃん」にエールを贈る激励会や県立中央農業高校和太鼓部のオリジナル曲「雷神」の演奏も。
白井さんは「みんなの力で作ったCDなので、黒岩県知事にももらってほしいと何気なく口にしたら、このような贈呈式が実現して驚いている。陸前高田からも応援に駆けつけてくれたのはとてもありがたいこと。これからも少しでも東北にエネルギーを届けられれば」と話した。
CDを受け取った黒岩県知事は「これからは人の痛みをどうやって支えていくかが大切になっていく。歌には大きな力がある。素晴らしい曲ができて神奈川県としてもうれしい」とコメントした。
「松の花音頭」は「福呼う(ふっこう)本舗」のWEBサイト、藤沢市「岩手・宮城・福島観光物産プラザ」(藤沢市藤沢38)などで購入できる。価格は1,200円。売り上げの一部は「奇跡の一本松保存基金」と「高田松原を守る会」に寄付される。