東京藝術大学大学院映像研究科は1月18日から、連続公開講座「馬車道エッジズ」の一環として「現代プロデュース論2012-2013」を開催する。
2009年にスタートした同講座は、作家や監督だけではなく、企画制作や事業計画を行うプロデューサーに注目し、講座を通して日本のアニメーションの将来の発展を考えることを目標としている。
4回目を迎える2013年度の講座は「アニメーションの仕掛け人たち」という副題を掲げ、アニメーション界に対して、ユニークでインパクトのある企画を実践しているプロデューサーを招き、全5回の講義を行う。
第1回「文化と場所の融合~マチ★アソビの場合」(1月18日)のゲストは、徳島市で開催している地元の商店街や町並みを使ったアニメーション関連イベント「マチ★アソビ」の主催者で、アニメーション企画制作会社「ufotable」代表取締役社長の近藤光さん。「マチ★アソビ」の開催を通して考えた、文化を継承するための場所の重要性について語る。
第2回「オーディエンスを教育する~CGアニカップ」(2月10日)は、関西を拠点に24年間にわたり「CGアニメコンテスト」を開催しているNPO法人「ProjectDoGA」代表のかまだゆかたさんをゲストに迎え、アニメーションを映像を使って行う対決型のコンテスト「CGアニカップ」を再現した上で「ProjectDoGA」の歴史にふれる。
第3回「オンリーワン’のプロダクションを創る~ボンズの挑戦」(2月19日)のゲストは、「エウレカセブンAO」「UN-GO」を制作した日本を代表するアニメスタジオのひとつ「ボンズ」の代表取締役社長の南雅彦さん。スタジオの個性を生かした独自のブランド作りを行う「ボンズ」の今後について語る。
第4回「アニメーションとメディアの新しい関係~ニコニコ動画の生み出したもの」(2月26日)のゲストは、動画共有サービス「ニコニコ動画」を運営するIT関連会社ドワンゴ執行役員の片岡義朗さん。ニコニコ動画というインフラがアニメーション視聴にもたらした変化を豊富な事例をもとに話す。第5回「『アニメ!アニメ!』編集長による、現代日本のアニメの俯瞰図 」(3月2日)は、国内外のアニメーションのニュースを配信するサイト「アニメ!アニメ!」 編集長の数土直志さんが日本アニメ界の現状について語る。
会場は東京藝術大学 横横浜校地 馬車道校舎(中区本町4)。当日先着100人まで講座受講を受け付ける。事前申込・予約は不要。
同大学院映像研究科教授の岡本美津子さんは「インターネット展開や国際共同制作などグローバルな展開を見せるアニメーション界にあって、日本の業界がどういったビジョンを描き、どういう事業を展開し、人材を育成していくか。これらは、まさに今に生きるプロデューサーたちが取り組まなければいけない課題。そのために、第一線で活躍するプロデューサーたちが最新の話題を提供するための公開講座を開設した。講座は、一般の方のみならず、プロデューサー自身の勉強のための講座でもある」と話す。
「馬車道エッジズ」は映画、アニメーション、メディアアートなどの映像文化に取り組んできた同大学院研究科が、次世代に向けた新しい局面(=エッジ)的役割を目指して開催する一連の講座の総称。
また、同大学院映像研究科は、1月18日~20日と25日~27日に、年次成果発表会「MEDIA PRACTICE 12-13」を開催する。会場は新港埠頭内の東京藝術大学横浜校地新港校舎(中区新港2)。