関内のギャラリー「横浜みなと町ギャラリー」(横浜市中区港町2)で、1月17日から写真展「小林審一による1970年代横浜風景展とカマダ写真館展」が開催されている。
カマダ写真館は1926年(昭和元年)創業。創業者の鎌田多聞さんは、大正時代にニューヨークに2回渡航し、写真館で修行。帰国後に関内の南仲通に店を構えた。自然光でのスタジオ撮影が主流だった当時、あえてスタジオ内にライトを設置して撮影を行い、開業当初は電気写真などと揶揄(やゆ)されたこともあった。
鎌田さんの急死により、松竹大船撮影所でスチールカメラマンとして活躍していた小林義治さんが1930年代後半、2代目店主に就任した。戦後は一時、末広町に店を構えていたが、1969年に住吉町へ移転。息子の審一さんが3代目として店を経営し、街の写真館として2008年まで営業していた。横浜プリンスホテルのブライダルカメラマンを務めるなど地域で評判の写真館だったという。
今回の写真展では、鎌田さんがニューヨークでの修行中に撮影した西洋人の家族の写真や、開業当時のスタジオの様子の写真に加え、接収地だった終戦直後の伊勢佐木町を記録した義治さんの写真、70年代以降の横浜の風景を撮影した審一さんの写真を展示。米兵と肩を並べる女性たちの写真や、かつて横浜公園にあったチャペルセンター(1979年撮影)、施工中のベイブリッジ(1978年撮影)など、横浜の町の変化が感じられる展示になっている。また、長尺のフィルムを使って撮影した横長の写真なども紹介している。
展覧会の初日には多くの人々が訪れ、写真に残る横浜の町を眺め、思い出を語り合う姿が見られた。
小林審一さんは「撮影した風景の中には、今はなくなってしまったもの、周囲の風景が大きく変わったいったものが多い。過去の横浜を見ていただくことで、あらためて横浜の街に思いをはせてもらうことができれば」と話している。
開催時間は11時~17時(最終日は16時まで)。1月20日まで。