若葉町を拠点に活動する非営利のアートグループ「ART LAB OVA」(横浜市中区若葉町3)は、2012年末から町を散策しながら若葉町の歴史を解説する「ディープ・ヨコハマ若葉町ツアー」を開催している。
同ツアーは2012年の「若葉町接収解除60周年」および「横浜名画座からジャック&ベティ(中区若葉町3)へと引き継がれた若葉町の映画館60周年」を記念した企画。「ART LAB OVA」のアーティスト・蔭山ヅルさんが、活動場所である横浜パラダイス会館をスタート地点とし、同地区での活動の合間に町の人々から聞いた話を交えて案内する。
ツアー予定地には、映画「私立探偵 濱マイク」シリーズ(林海象監督、1993~96年)の舞台として登場する映画館「横浜日劇」跡地や、映画「天国と地獄」(黒澤明監督、1963年)に登場する居酒屋「根岸家」跡地など、若葉町の戦後史を代表する場所が含まれている。
ツアーの所有時間は約15分。約500メートルの距離を参加者の関心に沿って案内。参加費は500円。特定の開催時間はなく、午後~夜の時間帯で、スタッフの空き時間であればいつでも出発できる。メールでの事前予約も可能。事前予約のアドレスはartlabova@dk.pdx.ne.jp。件名を「若葉町ツアー予約」にした上で、第1希望~第3希望まで候補を提出。事前予約の場合には500円のほかにカンパが必要。
蔭山さんは「若葉町は450メートルの道の周辺にある小さな町だけど、語り継ぐ機会のない多くの歴史が蓄積している。そういった小さな歴史をツアーを通して共有していくことができれば」と話している。
若葉町を含む伊勢佐木町、吉田町などはかつて「関外」と呼ばれ、その多くが第二次大戦後に接収された。連合国軍の軍事施設などが整備された当時、若葉町エリアには、長者町から若葉町にかけて軽飛行機が離発着できる滑走路があり、小型飛行機やオートジャイロが郵便物の輸送などに利用されていたという。1952年のサンフランシスコ対日講和条約後、接収解除が始まり、同年「横浜名画座」(現「ジャック&ベティ」)が開館した。