明治時代に作られたトラス橋・旧江ケ崎跨線橋が、横浜市中区新山下の「霞橋」(横浜市中区新山下1)として再利用され、3月21日に開通式が行われた。
江ヶ崎跨線橋は、かつて川崎市幸区と横浜市鶴見区をつないでいた鉄橋で、トラスという三角形を基本単位とする構造の骨組みをもつ。もともとは1896(明治29)年に日本鉄道土浦線(現常磐線)隅田川橋梁として架けられた橋が、機関車の荷重増加に伴い、1928(昭和3)年に撤去。1929(昭和4)年に江ヶ崎跨線橋として再利用された経緯をもつ。
「かながわの橋 100選」、「鉄の橋百選」、「日本の近代土木遺産」にも選定された橋だが、老朽化による危険性の増加が指摘されており、2007年から架け替え工事が行われていた。
架け替え終了後は廃棄が予定されていたが、歴史的建造物の再生に詳しい早稲田大学創造理工学部の佐々木葉教授らの提案により、霞橋での再利用の話が実現した。
道路局橋梁課長・菊地健次さんは「廃棄を予定していた江ヶ崎跨線橋が再利用にこぎ着けたのは、ちょうど霞橋の改修のタイミングとうまくあっていたため。今回の架け替えは、江ヶ崎跨線橋にとって2度目の再生になる。地域のシンボルとして、これからも利用していただければ」と話している。
橋のたもとには、明治から今に至るまでの歴史を綴った案内板も用意されている。