横浜開港祭が開催される6月8・9日の2日間(ともに13時15分から)、メーン会場となる横浜・みなとみらい21地区(横浜市西区)周辺で、タブレット端末やスマートフォンで使える「拡張現実(AR)アプリ」を活用した町歩きイベント「オープンデータによるみなとみらいAR歴史体験ツアー」が開催される。
2月23日に行われた町歩きワークショップでもARアプリが使われた=横浜市中区
主催は、横浜オープンデータソリューション発展委員会(YODS)横浜開港祭ワーキンググループ。横浜市役所、横浜開港祭広報渉外委員会が共催している。
今回のツアーは、YODS理事の上野直樹・東京都市大学メディア情報学部教授がコーディネートして制作したARコンテンツ「みなとみらい歴史AR」が使われる。ARは、現実世界の情報に、コンピュータが作り出した情報を重ね合わせ、新たな価値を生むコンテンツをつくる技術。
今回使われる「みなとみらい歴史AR」は、「横浜オープンデータ・アイディアソン」(YODS主催、1月13日)で参加者らが発想したアイディアをもとに、「横浜オープンデータ・ハッカソン」(1月25・26日)で、多様な技術者同士が協働して開発し、最優秀賞を獲得した「横浜歴史フィールドミュージアムAR」を改良したもの。
使われているオープンデータは、横浜市立中央図書館・市史資料室(西区老松町1)で所蔵している膨大な横浜の歴史に関する画像資料のうち、電子化された画像。これらは「パブリックドメイン」と呼ばれる著作権が切れたものを活用している。このほか、横浜みなと博物館(西区みなとみらい2)など、公共施設から資料提供を受けるなど、「民と官のコラボレーション」で作られている。
この「みなとみらい歴史AR」を使うことで、町歩きをする人のスマートフォン上に映し出されるその場所の昔の画像と、現在の町並みを比べることができるという。
上野さんは見どころについて「新しいまちと思われているみなとみらい21地区にも、明治中期以降の近代化の痕跡が点在している。ARによって、その痕跡がかつてどのような姿だったのかが分かり、みなとみらい21地区のダイナミックな変化を実感できる」と話す。
当日は「日本丸メモリアルパーク」に集合し、1グループ10名程度で、グループごとに散策する。タブレット端末を持ったスタッフが随行するので、スマートフォンを持っていない参加者も楽しむことができる。8・9日の両日とも同内容で開催される。参加費100円(保険料として徴収)。
今回のプロジェクトについて上野さんは「今回のARアプリ制作とイベントは、図書館や市役所、企業や市民、学生など多くの方々の協力で実現できました。こうした手法は、オープンデータを具体的に地域に役立てる一つの実践例としても意義があると思います」と話している。
なお、関連イベントとして8日10時30分から、シェアオフィス「さくらWORKS<関内>」(横浜市中区相生町3)で「オープンデータと情報デザインオープンディスカッション」も行われる。首都大学東京大学システムデザイン学部准教授の渡邉英徳さんや、同大のシステムデザイン研究科大学院生を招き、オープンデータの取組紹介や横浜におけるオープンデータの展開についてディスカッションが行われる。参加費500円。
各プログラムの詳細・申し込みは以下の「横浜オープンデータソリューション発展委員会」フェイスブックページのイベントページから。