横浜美術館(横浜市西区みなとみらい3)で7月6日、「プーシキン美術館展 フランス絵画300年」が開幕した。
フランソワ・ブーシェ「ユピテルとカリスト」1744年©The State Pushkin Museum of Fine Arts, Moscow
同展では、17世紀古典主義の巨匠プッサンにはじまり、18世紀ロココの代表ブーシェ、19世紀のアングル、ドラクロワ、ミレー、印象派やポスト印象派のモネ、ルノワール、セザンヌ、ゴッホ、20世紀のピカソやマティスまで、プーシキン美術館のコレクションの中核をなすフランス絵画を紹介。女帝エカテリーナ2世らロマノフ王朝歴代の皇帝や貴族、大商人によってロシアにもたらされた巨匠たちの作品66点でフランス絵画300年の栄光の歴史をたどる。
作品は、ピエール=オーギュスト・ルノワール「ジャンヌ・サマリーの肖像」(1877年)、ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル「聖杯の前の聖母」(1841年)、フィンセント・ファン・ゴッホ「医師レーの肖像」(1889年)、ニコラ・プッサン「アモリびとを打ち破るヨシュア」(1624-25年頃)、フランソワ・ブーシェ「ユピテルとカリスト」(1744年)、ウジェーヌ・ドラクロワ「難破して」(1840-47年頃)など。音声ガイドプログラムの語りは俳優の水谷豊さんが務める。
初来日となる作品「ジャンヌ・サマリーの肖像」は、当時フランスを代表する劇団コメディ=フランセーズの花形女優であったジャンヌ・サマリーをモデルに起用した明るく華やかな色調の作品で、ルノワールの印象派時代最高の肖像画ともいわれている。モスクワ出身の伝説的なコレクターであった資産家のイワン・モロゾフが、1904年にパリの画商から購入した。
横浜美術館 主任学芸員の松永真太郎さんは「西洋絵画の中心的モチーフとされた人物主題が今回の展示作品の多くを占めている。描かれた人、画家、そして、ロシアに作品をもたらしたコレクターたち。人をテーマに、一枚の絵の背景にあるものも含めてたのしんでもらえたら」と話している。
関連イベントとして、漫画家・声楽家の池田理代子さんによる記念講演会「時代を描く、人を描く-西洋絵画と漫画」(7月20日)、明治大学教授・フランス文学者の鹿島茂さんの記念講演会「18世紀のフランス女優と風俗」(8月3日)、鑑賞ワークショップ「くらべて楽しむプーシキン美術館展!」(9月6日)なども実施する。
開館時間は10時~18時(入場は閉館30分前まで)。観覧料(当日)は一般1,500円、大・高校生1,200円、中学生600円、小学生以下無料。木曜休館(8月1日と15日は開館)。9月16日まで。