ヨコハマ創造都市センター(YCC、横浜市中区本町6)など5会場で8月21日から27日まで、「第9回 世界ファブラボ代表者会議(FAB9)」が開催される。
デジタル工作機器のコストダウンとインターネットによるダイレクトなコミュニケーションが可能にした「ものづくりの新しい潮流」を担う、世界各国の市民の実験的工房の代表者が、横浜に集まり交流を深めながら、多様な発想をものづくりに生かすための議論やワークショップ・国際シンポジウムを展開する。
同会議は、慶應義塾大学SFC研究所ソーシャルファブリケーションラボが主催、ヨコハマ創造都市センター(横浜市芸術文化振興財団)、米国・マサチューセッツ工科大学(MIT)の「ビット&アトムスセンター」が共催する。
ファブラボとは、3次元(立体)造形が可能な「3Dプリンター」や、レーザー光でものを切削する「レーザーカッター」などの機材を、市民が共有しながらものづくりを実践できるコミュニティ型の実験工房。世界50カ国、200以上の都市にファブラボがある。ネットワークにより、世界各地のファブラボは、日々データのやりとりしながら国境を越えた対話を重ね、各地域に適したものづくりを展開している。
横浜が、創造都市政策に力を入れていることや、「古いものを修復し、新たな価値を見いだす」というファブの精神に合致する歴史的建造物が会場に利用できることもあり、今年春に開催が内定していた。
会場は、YCCと、横浜市開港記念会館、KAAT 神奈川芸術劇場、さくらWORKS<関内>など5会場。メーン会場のYCCでは、3Dプリンタ、カッティングマシンなどのデジタル工作機械、廃棄物として一度は捨てられたさまざまな機械や部品を「素材」として置き、新たな活用を通じて、未来のものづくりを構想する。
世界ファブラボ代表者会議は、各ファブラボの代表者やコアの運営者、ファブラボ研究者のための1週間に渡る「夏季集中合宿(クリエイティブ・サマーキャンプ)」という位置づけになっている。
公開イベントとしては、期間中の26日に、KAAT 神奈川芸術劇場で国際シンポジウム「進化するメイカームーブメントーグローカルものづくりの未来ー」が開催される。
ファブラボムーブメントの創始者であるMITのニール・ガーシェンフェルド教授や各国のファブラボ代表者が、さまざまなプレゼンテーションを行うほか、ノルウェー出身のイェンス・ディヴィクさんが、約2年間に渡って地球各地のファブラボを訪ね歩いて撮影した映画「Making,Living,Sharing」を世界で初めて上映する。
また、同日夜には横浜で初となるファブラボ「ファブラボ関内」が、さくらWORKS<関内>(中区相生町3)にオープンする。
実行委員長の田中浩也・慶応大学環境情報学部准教授は「ウェブがビジネスや暮らしを大きく変えたように、技術を自分たちの身近なコミュニティに取り戻すデジタルファブリケーションもまた、わたしたちの未来を大きく変える可能性を秘めている。シンポジウムでは、世界のものづくりイノベーターたちの活動の一端に触れることができるので、ぜひ参加してほしい」と話している。