舞台芸術の創造拠点「急な坂スタジオ」(横浜市西区老松町26)周辺で、日韓共同製作プロジェクト公演「つれなくも秋の風」が行われている。
同公演は、観客と俳優がペアを組み、1組ごとに「急な坂スタジオ」とその周辺を巡るツアー形式の演劇作品。劇場ではなく、かつて結婚式場だったスタジオ(旧老松会館)を舞台に、観客と俳優が1対1の契約を交わし、結婚と契約と記憶を巡る物語を体験する。
同作は、昨年秋に来日していた韓国人アーティストのソ・ヒョンソクさんが、同スタジオに残る結婚式場の記憶にインスピレーションを得て創作。現在、演劇やダンスの稽古場として活用されている「急な坂スタジオ」は、2005年閉館まで結婚式場として利用され、建物内部の間取りや雰囲気が往事の面影を今に伝えている。
キャストは、いけだとも実さん、臼井梨恵さん、木下毅人さん、佐藤茜さん、千尋さん、富松悠さん、野崎聡史さん、福田毅さん、藤倉めぐみさん、松代泰幸さん、村上聡一さん、八重尾恵さん、弓井茉那さん。ツアー時間は約60分。
同プロジェクトの制作を担当する急な坂スタジオの加藤弓奈さんは「結婚における『契約』は、舞台作品における観客と俳優(創り手)の関係にも通じるのではないか。古い記憶が刺激され、新しい記憶が上書きされる、これまでにない演劇体験になると思う。人生のパートナー同様、隣にいる俳優を信じ、前に進んでもらえたら」と話している。
チケットは前売・当日とも1,500円。雨天決行。予約・問い合わせは急な坂スタジオ(TEL 045-250-5388)。10月27日まで。
ソ・ヒョンソクさんは、演出家、舞台芸術研究家、延世大学コミュニケーション大学院教授。クリエーターとして多数のサイトスペシフィック・パフォーマンス作品を製作している。2013年のダウォン芸術祝祭「フェスティバル・ボム」(韓国)で作品「舞台恐怖症」を発表。2012年の国際舞台芸術フェスティバル「フェスティバル/トーキョー」ではF/Tアワード審査員を務めている。
急な坂スタジオは、横浜市との共同のもとNPO法人「アートプラットフォーム」が管理・運営を行っている公設民営の文化施設。横浜市の創造界隈形成事業の一環として、元結婚式場の旧老松会館を転用し、2006年10月にオープンした。
同スタジオでは、23日に開幕したアートと光の祭典「スマートイルミネーション横浜 2013」の連携イベントとして、スマートイルミネーションの各会場をつなぐツアーイベント「あかるい結婚」を10月26日に開催する。