KAAT 神奈川芸術劇場(横浜市中区山下町281)で11月9日から、劇団唐ゼミ☆と同劇場の合同公演「唐版 滝の白糸」が行われる。
作品「唐版 滝の白糸」は、劇作家で演出家、俳優の唐十郎さんが手掛けた戯曲。「アートシアター新宿文化」主宰の葛井欣士郎さん、演出家の蜷川幸雄さん、唐さんが結成した「花の社交界」によるプロデュースで、1975年に蜷川さんが初演した。
唐さんが小説家・泉鏡花の短編「義血侠血(ぎけつきょうけつ)」に着想を得て大胆に構成した作品で、初演時は映画の撮影所で大掛かりな舞台装置を使って上演され、演劇スペクタクルと反響を呼んだ。以来、数々の再演を重ねている。
作・監修は唐さん。演出は劇団唐ゼミ☆主宰の中野敦之さん。キャストは、大久保鷹さん(銀メガネ役)、禿恵さん(お甲役)、西村知泰さん(アリダ役)ほか。今回の舞台化にあたり、小人レスラー役と工事人夫役のオーディションを行い、一般公募による舞台美術ワークショップを開催した。
13日の上演終了後には、現代美術作家・やなぎみわさんと中野さんによるアフタートークを実施する。
中野さんは「何も持たぬ者たちが唯一『血』を武器に世界に虹をかけるという、激しく、美しい劇。唐作品はわけがわからない、テントはこわい、と思っている人こそ来てほしい。これは、現実に違和感を感じて生きているすべての人たちのための公演」と話している。
会場はKAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ。チケットは前売=一般3,500円・学生2,000円、当日=一般4,000円・学生2,500円。公演スケジュールは日程による。11月17日まで(12日休演)。
劇団唐ゼミ☆は、横浜国立大学の教授(1997年10月就任~2005年3月定年退職)だった唐十郎さんのゼミナールをもとに発足。中野敦之さんが代表を務め、2005年の唐さんの退任とともに劇団化した。主に青テントで唐十郎作品を上演している。
2005年の新国立劇場プロデュース公演以降、横浜、東京、長野など全国各地で活動を続け、浅草でオカマ100人芝居「下谷万年町物語」上演(2009年)。横浜では2011年に唐さんの世界を演劇、展示、上映会、リサイタルの4部門で紹介する「大唐十郎展」を開催。2012年に唐さん初の書き下ろし作品「木馬の鼻」を上演している。