横浜美術館(横浜市西区みなとみらい3)で、明治から昭和初期までの大観芸術の魅力を紹介する「横山大観展 ー 良き師、良き友」が開催されている。
横山大観は、近代日本画壇を代表する巨匠。横浜生まれの思想家である岡倉天心(おかくらてんしん)に教えをうけ、大正期に共に歩んだ良き友4人、今村紫紅(いまむらしこう)、小杉未醒(こすぎみせい、後に放菴と改号)、小川芋銭(おがわうせん)、冨田溪仙(とみたけいせん)との交流から、作風を飛躍的に発展させた。
同展では、大観が画題、構成、技法とさまざまな挑戦をしながら、モダンでのびやかな作品を生み出した大正期に焦点を当て、明治から昭和初期までの大観芸術の魅力を約140点の作品で紹介する。
プログラムは、第1章「良き師との出会い:大観と天心」、第2章「良き友、紫紅、未醒(放菴)、芋銭、溪仙:大正期のさらなる挑戦」、第3章「円熟期に到る」の3部構成。
展示作品(通期・後期)は、横山大観=中国湖南地方の8つの景勝・瀟湘八景(しょうしょうはっけい)より「漁村返照(ぎょそんへんしょう)」(1912年)、唐時代の僧・寒山拾得を描いた「焚火(たきび)」(1915年)、溪仙の作品「祇園夜桜」に着想を得たとされる「夜桜」(1929年)、大観が下村観山、紫紅、未醒と描いた合作絵巻「東海道五十三次合作絵巻(第5巻、第7巻)」(1915年)。小川芋銭「肉案(にくあん)」(1917年)、小杉未醒「列仙屏風(れっせんびょうぶ)」(1915年)、冨田溪仙「祇園夜桜」(1921年)、今村紫紅「入る日・出る月」(1915年)など。音声ガイドプログラムの語りは俳優の竹中直人さんが務める。
館内では、大観が愛したとされる広島の特選純米酒「醉心(すいしん)」(1,575円)を特別ラベルで販売。また、市内のレストランやホテルでは、同展の開催を記念した特別メニューや宿泊プランを提供している。
横浜美術館 主任学芸員の八柳サエさんは「今回の展覧会では、良き師、良き友との関わりを読み解きながら、多くの人々を魅了している近代日本画家の巨匠、横山大観の円熟期に至るまでの画業を振り返る。大観が愛読した盟友の作品や、大観が手元に置いた天心の書なども見所のひとつ」と話している。
開館時間は10時~18時(入場は閉館30分前まで)。観覧料(当日)は一般1,400円、大・高校生1,100円、中学生500円、小学生以下無料。木曜休館。11月24日まで。