関内ホール(横浜市中区住吉町4)で12月2日、公開シンポジウム「持続可能な未来社会を拓くコミュニティ経済」が開催された。
主催はNPO法人「ワーカーズ・コレクティブ協会」、全労済神奈川県本部、神奈川県生活協同組合連合会などでつくる「研究フォーラム2013『持続可能な未来社会を拓くコミュニティ経済』実行委員会」。当日は約220人の参加者が集まり、非営利・協同セクターが中心となって担うコミュニティーを基盤とする経済の形成を目指した議論が行われた。
基調講演「緑の福祉国家-コミュニティ経済の生成と展開-」では、千葉大学法経学部教授の広井良典さんが、ドイツや東京都荒川区、岐阜県石徹白地区などの事例に基づき、経済的な豊かさと環境改善を両立する「緑の福祉国家」の重要性を論じた。
続くシンポジウムでは、岡田百合子さん(ワーカーズ・コレクティブ協会事務局長)のコーディネートで、中川久美子さん(元横浜市政策局政策課主任研究員、横浜市大講師)が、さまざまな統計データを元に、2019年から人口減少がはじまる横浜市の雇用や被保護世帯の現状や将来像について解説し、地域でのたすけあいや見守りによる「ケア・コミュニティ」の重要性について話した。
また、行岡みち子さん(グリーンコープ生活再生事業推進室長)は、九州における福祉活動による就労支援事業の成果を紹介。中村久子さん(ワーカーズ・コレクティブ協会理事長)は、「生きにくさを抱える若者たちと共に働く」というテーマで、ワーカーズ・コレクティブ協会の就労支援事業において行った若者の実態調査をもとに「若者が求める生き方・働き方」を報告した。
広井教授は「コミュニティの経済化」と「経済のコミュニティ化」の関係性を説き、新しい社会のセーフティネットとして、地域の社会資源をつなぎ、顔の見える関係性を大切にしながら相互扶助や互酬性を基盤とした地域における経済の循環を進める「コミュニティ経済」の発展が、リスク社会への解決策であるとまとめた。