横浜に長く住み、創作活動を続けた故・鈴木清さん(1943-2000)の写真がこの秋、世界最大の写真展示会「第17回パリフォト」に出品された。この展示会に参加した、長女の鈴木光さんが12月21日、関内で「鈴木清-パリフォト報告会」を開く。
鈴木清さんは、福島県いわき市生まれ。少年期に身近にあった「炭鉱」をテーマにした「シリーズ・炭鉱の町」で1969年に、写真家としてデビューした。「看板描き」を生業としつつ、横浜市港北区に自宅とアトリエを置いて、長年写真家として活動を続けた。妥協を許さないスタイルを反映し、土門拳賞を受賞した「修羅の園」(1995年)をはじめ、生前出版した8冊の写真集のうち7冊が、編集・レイアウトをみずから手掛けた自費出版となっている。
報告会では、鈴木氏さんの写真のファンで「鈴木清公式ウェブサイト」のディレクションを担当したデザイナーの阿部太一さんが聞き手となり、光さんからパリフォトの会場となったグラン・パレの風景などがスライドで紹介されるほか、生前出版された全写真集も展示。没後10余年をもってなお、根強いファンに支持されている鈴木さんの作業スタイルなど、家族から見えた創造の現場が語られる。
このイベントを企画した阿部さんは「鈴木清氏の作品は、写真を見ることの楽しさ、自由な表現について教えてくれる。また、貴重なオリジナル写真集を実際に手に取れる機会でもあるので、写真に関心がある人にぜひ来てもらいたい」と参加を呼びかけている。
また、光さんは「初めてのパリフォトは、業界の人たちだけでなく会社員や親子連れも気軽に訪れている光景が印象的で、写真文化が生活の中に浸透していることをあらためて感じた。写真やアートを身近に感じてもらえるきっかけになれば」と話している。
会場はシェアオフィス「さくらWORKS<関内>」(横浜市中区相生町3)。16時開場、16時30分報告会スタート。参加費500円(1ドリンク付き)。問い合わせ・申込みは「鈴木清|パリ・フォト報告会」フェイスブックページから。