知りたい「もの」を言うと、その立体物が3次元(3D)プリンターで出力される「さわれる検索」導入を記念した特別公開授業が1月14日、横浜市立盲特別支援学校(横浜市神奈川区松見町1)で行われた。小中高の児童・生徒計61人が初めて操作を体験し、知りたかった物の「かたち」の感触を手にとって味わった。
この「さわれる検索」は、調べたいものの名前を言うと、独自データベースが稼働、3Dプリンターから立体物が出力されるしくみの機械。大きさは高さ132×横150×奥行60センチメートルで、白い雲を模した親しみやすい形をしている。正面上部にディスプレイ画面、中部に赤ボタン・青ボタン・マイク、下部に立体物の取り出し口が設けられている。
すべての動作が音声で案内されるので、小学校低学年の児童でも簡単に操作できる。赤いボタンを押しながらマイクに向かって知りたいものの名前を言うと、その名前が、今回開発を担ったヤフー独自のデータベースで検索される。検索が終わり「見つかりました」の音声終了後に、出力を指示する青いボタンを押すと3Dプリンターが作動する。
今回の公開授業では各学年の代表者が探したいものを考案。実際に出力を指示したものは「ハート・象・東京スカイツリー」だったが、中には「空気を見たい」「火のかたちを知りたい」というリクエストも。
音声ガイド通りに操作をして、約30分ほどかかって実際に「さわれる検索」の取り出し口から出てきた立体物を、子どもたちは手に取り、互いにかたちを確かめ合っていた。
体験授業に参加した小学3年生の児童は「とても楽しかった」と話し、中学生の生徒は「象の鼻の長さが思っていたよりも長かった」などと驚いていた。
同校の星野勉校長は、「3Dプリンターは、製造業だけではなく、教育界にも大きな影響がある。特に盲学校の教育現場にとって、生徒のニーズに応じてすぐに学校内でさわれる教材をつくり、手にとって細部まで確かめることができる効果は計り知れない。3Dプリンター技術が盲学校にもたらす教育的価値はこれから実証されていくと思う」と、今後の技術の発展に大きく期待する。
「さわれる検索」を企画・開発したヤフーの担当によると、データベースの未来の活用の形を同社が構想するなかで、3Dプリンターと連動した社会貢献的プロジェクトとして企画された。2月にはこの「さわれる検索」が全国の盲学校に7台(うち1台は同校を含む)設置される予定。