山手234番館(横浜市中区山手町234)で、日本の西洋館や近代化遺産を撮り続けている写真家の増田彰久さんによる山手の西洋館の写真展「横浜山手 1985」が開催されている。
1927年に外国人向けの共同住宅として建てられた山手234番館の2階ギャラリーの会場には、すでに取り壊されてしまったフェリス女学院の校舎の写真や、会場に隣接する横浜山手聖公会のほか、明治時代以降に建てられた西洋の建築様式を用いた住宅など、1980年代に撮影された写真が展示されている。展示作品は、カラーパネル40点、モノクロのキャビネ判プリント90点。主催は横浜山手芸術祭実行委員会。
増田さんは、40数年前に大成建設広報部に所属しながら、休日に全国の洋館の写真を撮り始めた。建築史家の藤森照信さんの文章で、週刊誌に写真を掲載したところ、洋館ブームの到来とともに、写真が一気に日の目を見ることとなった。
写真展に協力する「ヨコハマ洋館探偵団」は1988年から、洋館や建築などをテーマにした講座を設けており、2013年度の第5回の講師を増田さんがつとめた。増田さんは、日本の建築界に大きな影響を与えたA.レーモンドが設計した「エリスマン邸」がマンション建設のために取り壊されることになった際に、建物の移設保存にも関わったという。
増田さんは「建物を破壊してしまうのは、経済の力。30年前に撮影した建物のうち半分は壊されて消えてしまった。保存のためには法的な整備が必要だ」と話す。
開催時間は9時~17時。入場無料。開催は11日まで。