神奈川県情報サービス産業協会(横浜市神奈川区鶴屋町3)は、企業が取得しながら使っていない「開放特許」を活用した投稿型商品アイデアコンテスト「はまデア」を実施している。
今回のコンテストでは、富士通(東京都港区)が保有する特許のうち、「盗難防止技術」「音声のゆっくり再生技術」「車載ペットロボット」を使用したアイデアを募集している。
3月27日には推奨商品アイデアが発表され、選ばれた作品は今後1年間、企業や公的連携機関などの連携により商品化を目指す。実際に商品化された場合は、商品化した企業から10万円が、さらに、開発開始から1年間の売上が5千万円を超えた場合は、50万円が進呈される。
富士通では、関連する富士通研究所の研究員が取得したものの、事業化しにくい特許を以前から中小企業などに開放する取り組みを各地で行ってきた。今回は公益財団法人横浜企業経営支援財団(IDEC)が同社と以前からセミナーなどを行っていたことが縁となり実施に至った。
富士通は、休眠特許を活用することで発明した研究員のモチベーションアップを図れ、中小企業側にとっては、大企業が取得した特許を使って新たな商品を開発し事業を活性化することができるなど、双方にメリットがある。
「盗難防止技術」は、振動センサにより検知された振動の時間間隔および継続回数に基づいて移動距離を推定し、所定距離以上となった場合に警報を発生する。「音声のゆっくり再生技術」は、話し手の声をゆっくり再生して聞きとりやすくする、人に優しい技術で、声がゆっくりになっても声の高さは変わず、会話が間延びしない。「車載ペットロボット」は、運転者に違和感の無い自然な対話を可能とする車載入出力装置で、音声入力のため必要な時に応答が得られる。
商品アイデアは2月24日から募集が始まり、現在25作品の内容がウェブサイトに公開されている。例えば盗難防止技術を活用したアイデアでは、犬の盗難防止のための「わんちゃんの首輪に」、音声のゆっくり再生技術を活用したアイデアでは英語がクリアに聞き取れる「ハッキリ聞き取れる英会話」など、企業や市民からの商品アイデアが掲載されている。
「はまリンク」プロジェクトマネジャーの吉川征通さんは「IT企業として橋渡しができればと思い、今回のコンテストを開催している。応募の敷居を低くしているので、気軽にアイデアを出していただければ」と話す。アイデアは「はまデア」サイトの登録フォームからする。締切は3月20日。
「はまデア」は、IT関係の業界団体「神奈川県情報サービス産業協会」が主催。富士通と横浜企業経営支援財団、横浜市経済局「ITを活用した市内中小企業の情報発信力強化と人材育成事業」の一環の横浜ものづくり企業応援プロジェクト「はまリンク」が運営している。