東日本大震災と津波によって損壊した東京電力福島第1発電所による放射能の影響を、さまざまな取り組み・学びによって管理しながら復興に向けて歩みを進めている福島県。社会学者で福島大学うつくしまふくしま未来支援センター特任研究員の開沼博さんを招き、福島に生きる人たちの声を集め、これからの復興を進める「福島学構築プロジェクト」について知る勉強会が3月24日、関内で開かれる。
開沼さんは、1984年福島県いわき市生まれ。震災前から原子力発電所と地域の関わりについて研究し、震災直前の2011年1月に書き上げた修士論文に加筆した「『フクシマ』論~原子力ムラはなぜ生まれたのか」(青土社、2011年6月刊)を上梓して注目された若手社会学者だ。
同書は、原子力を媒介とする中央と地方の関係に注目し、日本の経済成長のメカニズムと地方に原子力発電所が建てられていった構図について考察している。また、開沼さんは、ジャーナリスト的に多種多様な地域の人たちに出会い、先入観を廃して声を聞き取っていくフィールドワークを重ね、さまざまな著作を通して、リアルな福島の姿を伝え続けている。
今回は、開沼さんが福島大学で取り組んでいる「福島学構築プロジェクト」を首都圏の人たちに知ってもらおうと企画した。
このプロジェクトでは、すでに「福島エクスカーション」「福島の人々・2000人インタビュー」などの活動を実施している。福島で暮らす人の声を反映した「生きた復興支援」を持続可能にする仕組みを構想し、企業など多様なセクターと連携して「世界で今、一番課題が山積している」とされている福島だからこそできる「イノベーション」の実現を目指している。
この公開勉強会ではまず、開沼さんがこのプロジェクトの前提となっている「福島の現状」について情報を提供する。さらに「福島学構築プロジェクトが目指すゴール」「ゴールを実現するための手法」であるエクスカーション(現地視察)やインタビュー事業について詳しく聞く。
そのうえで、福島を含む地方でつくられた電力を利用して、暮らしを営み、仕事を続け、まちを成長させてきた「横浜の私たち」が「当事者」としてできることについて考える。
「福島学構築プロジェクト」コーディネーターの伊達洋駆さんは「この事業では、福島と県外の方たちのかかわりの質と量を増やそうと、福島エクスカーションを中心に活動してきた。勉強会では、震災から3年経過した今、福島と横浜のみなさんがどのようにかかわることができるのかを提案・議論していきたい」と話している。
会場はさくらWORKS<関内>(横浜市中区相生町3)で、時間は18時30分~21時(開場18時)。料金は1,500円(1ドリンク付)。申し込みはFacebookイベントページから。